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論文
引用索引と個人研究業績評価
小松 三蔵
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1999 年 42 巻 4 号 p. 319-324

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抄録

昨年の8月,朝日新聞が ISIの論文引用索引データベースを紹介している。もともと日本には同姓はもとより同名異人が多く,このデータベースで論文引用回数の個人別ランキングを調べると,日本人名が上位110人中の52人を占めてしまうというのである。例えば斯界で著名な岸本阪大学長や日亜化学の中村修二氏なども,大勢の同じ岸本姓や中村姓のなかに埋もれてしまい,同定ができないという。しかしこれは,日本に限ったことではないはずである。実際には検索技術を駆使することでかなり細かく同定できるようになっている。朝日で取り上げられた岸本学長の場合も,大阪大学と専門の医学や免疫学で絞れば 267件を同定できる。なお医学部のある大阪市大を考慮してこれを除外すれば,岸本学長の論文,245件を確認することができる。これで引用文献検索を行うと,1論文当たりの平均引用回数は38.66,一度も引用されなかった論文は40件あることが分かる。中村姓は多いので難しいとされた日亜化学の中村修二氏の場合は,実は日亜で 118件しかないので簡単に 114件を同定することができる。1論文当たりの平均引用回数は22.7で,また一度も引用されない論文は31件である。ただし,これらの数字はすべて比較的,相対的なもので,業績評価への利用の際は調査条件を同一にして検索することが必要である。

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© Japan Science and Technology Corporation 1999
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