2001 年 44 巻 3 号 p. 163
情報技術の進展,とりわけ電子ジャーナルの出現で学術コミュニケーションは大きく変わりつつある。また,現在の情報環境は,出版社のリポジトリー,抄録・索引サービス,ローカルなリポジトリー・アグリゲータが存在する分散型情報環境である。一方で情報検索のツール状況は,標準化された検索環境としてのWeb,インタフェースとしてのブラウザの確立,HTTPの技術,標準化された言語などを安定して利用できる環境である。こういった環境にあってリソースをいかに統合し,更にツールを結びつけそれぞれの機関に見合った情報システムを設定し,情報を提供することは情報担当者,システム作成者,ライブラリアンにとって大きな課題である。これらリソースをリンクさせ,統合的なシステムを可能にするのがXML技術である。講演者は学術コミュニケーションの変遷,分散型情報環境,XML技術の詳細,メタデータとリンク技術,学術コミュニケーションの仲介的役割をもつ出版社および図書館の将来について論じる。筆者の属するイリノイ大学の大規模ジャーナルフルテキストプロジェクトであるイリノイテストベッドプロジェクトについても言及する。