2007 年 50 巻 7 号 p. 410-417
インターネットの普及に伴って急速に普及している高等教育におけるeラーニングは,高等教育の需給関係の地域的不均衡のなかで越境し,教育のグローバリゼーションを引き起こしている。先進国から発展途上国という一定の流れが形成されているなか,先進国は市場原理に基づいてeラーニングを輸出する傾向が強く,他方,発展途上国は輸入に当たってのメリットとともに,多くの懸案事項があることを検討した。そこで,明らかになったことは,多くの懸案事項は,これまでの国家と高等教育との関係図式に変更を迫るものであり,それに対して国家がどのような政策をとっていくかが問われているということであった。