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情報界のトピックス
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2017 年 59 巻 12 号 p. 876-877

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トランプ新政権をめぐる動き(1):「トランプ・アーカイブ」公開

Webアーカイブサービス「ウェイバックマシン」(Wayback Machine)などを運営する米国の非営利団体「Internet Archive」は1月5日,トランプ氏が登場するスピーチやインタビュー,討論など,テレビ番組の映像を集めた「トランプ・アーカイブ」を公開した。2月1日現在,867件の動画が公開されている。Internet Archiveは,ロシアのプーチン大統領と親密だと語っていたトランプ氏が,今度はプーチン大統領とは会ったこともないと相反する発言をした事例を挙げて,トランプ氏の発言を取り上げたテレビ番組を無料かつ永続的な情報源として提供することで,マスメディアによるファクトチェックや,一般市民などによる発言の監視を効率的に行えるようにしたいとしている。それぞれの動画には,1分ごとのサムネイルの下に,番組の発言内容を書き出したテキストが添えられている。SNSでの共有や,ブログなどへの埋め込みによる引用が簡単に行える機能もついている。

トランプ新政権をめぐる動き(2):シカゴの図書館が抗議活動のプラカードなどの寄贈を呼び掛け

シカゴのニューベリー図書館は1月23日,トランプ新政権の各種政策への抗議活動として行われたデモ行進「Women's March」で使用された帽子やプラカード,バナーなどの「エフェメラ」を寄贈するように呼びかけた。エフェメラとは,印刷および手書きによって作られ,ある目的で一時的に使用した後は捨てられるもののこと。これらを保存することで,この時代の市民が喫緊の政治問題についてどのような抗議活動を行ったのか,将来の世代が振り返るのに役立つとしている。保存対象となるトピックの制限はない。また,Women's Marchだけでなく,さまざまな主張に基づく抗議活動のリポジトリも構築したいとしている。

トランプ新政権をめぐる動き(3):図書館関連団体が新政権の政策への反対を表明

米国図書館協会(ALA)と大学・研究図書館協会(ACRL)は1月30日,トランプ新政権の政策への反対を表明する声明をそれぞれ発表した。ALAは,ビザの発給停止や入国禁止措置などの,新政権の大統領令や各種政策は,情報への自由なアクセスや,機密・プライバシー,民主主義,公平性,多様性,知的自由といったALAの基本的価値観とまったく相いれないものであるとして,強く反発している。ACRLの声明でも,表現の自由や学問の自由の抑圧,脅迫や嫌がらせ,イスラム諸国からの入国禁止措置などに反対しており,ACRLの会員に向けて,学生や教職員を支えるというACRLの信念を再確認するよう呼びかけている。

Facebookの虚偽ニュース拡散問題への取り組み

Facebookは,2016年の米国大統領選においてFacebook上で拡散された虚偽ニュースが選挙結果に影響を与えたとする批判を受け,対策を進めている。12月には,虚偽ニュースの報告を簡単に行える機能や,虚偽の可能性が高い投稿に対する第三者組織によるファクトチェックの実施などを発表し,試験を開始している。1月15日には,こうした虚偽ニュース対策の試験を,2017年秋に連邦議会選挙が予定されているドイツにも拡大すると発表した。また1月11日には,Facebookとニュースメディア業界の連携強化を目指して,「Facebookジャーナリズム・プロジェクト」を立ち上げている。このプロジェクトは,(1)ニュースメディアとの連携の強化,(2)ニュース収集や記事執筆のためのジャーナリズム向けトレーニング&ツールの提供,(3)ニュースリテラシー向上のための一般市民向けトレーニングツールの提供という3本柱からなる。

図書館での電子書籍貸し出し数が増加

図書館向けの電子書籍プラットフォームを提供する米国のOverDriveは1月9日,2016年の利用実績を発表した。これによると,電子書籍の貸し出し件数は1億3,900万件(前年比16%増),オーディオブックの貸し出し件数は5,500万件(同34%増)となった。また,49の図書館システムで,電子書籍の貸し出し件数が100万件を超えた。子どもの電子書籍貸し出し件数が19%増加したほか,英語以外の電子書籍の貸し出し件数が40%増加したとしている。

人工知能で決算記事を自動生成

日本経済新聞社は1月25日,人工知能(AI)を使って企業の決算記事を自動で作成し,配信する「決算サマリー」サービスを開始した。このサービスは,東京証券取引所の運営する適時開示情報閲覧サービス「TDnet」に公開された企業の情報を読み込み,売り上げや利益などの数字とその背景などの要点をまとめた文章を作成する。配信するまでのプロセスを完全に自動化し,人によるチェックや修正などは一切行わない。TDnetへの情報公開から数分で記事が配信でき,上場企業(約3,600社)の大半に対応するとしている。このサービスは,日本経済新聞社のエンジニア,言語理解研究所,東京大学松尾豊特任准教授の研究室が共同で開発した。当面はベータ版(試用版)として,日経電子版や会員制情報サービスの「日経テレコン」などで提供し,日本経済新聞紙面には使用しない。またAIが作成した記事には,自動生成された記事である旨を記事タイトルや末尾に記載している。

スマートフォンをかざしてリアルタイム翻訳

Googleは1月26日,モバイル版のGoogle翻訳アプリに,スマートフォンをかざすだけで翻訳できるWord Lens機能の日本語版を追加したと発表した。Google翻訳アプリ(Android版/iOS版)を起動した後,カメラモードに切り替え翻訳したい文字にかざすと,自動的にテキストを検索し,画像内にリアルタイムで翻訳結果を表示する。Word Lensは現在,計30言語に対応している。

 
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