初めてオーダーメード・サンドイッチの店に入ったとき,パン,挟む野菜,ドレッシング,と選択することに煩わしさを感じました。用意されたメニューの中から選ぶ方式に慣れた私には,オーダーメードのサービスがうれしいとは思えなかったのです。
日本の食文化には「おまかせ」があります。食べたいものを指定するのではなく,料理人やお店の主人に任せて出してもらいます。何が出てくるかわからないところも楽しめるサービスです。この「おまかせ」には,なかなか魅力があります。
食に限らず,日本は「おまかせ文化」が根を張る社会なのかもしれません。いわゆるパターナリズム,父親のように本人に代わって意思決定する存在に決定を委ねることにも通じているように思います。その道の権威に任せるという慣習です。自分には難しいことはわからないからと治療方針を医師に委ね,任せることに疑問を感じないどころか,専門家でもないのに口を挟むことはためらわれる世の中でした。
今や,自分の人生の問題,私たちの社会の問題を他人に「おまかせ」できる時代は終わりました。権威者や専門家の意見を聞くことはできても,決定を委ねることはできません。
今後どうなるかではなく,どうしたいのか,です。どんな世界をつくっていくのかを決めるのは,私たちです。そのためには,面倒でも考えるうえでのリテラシーが不可欠です。
今月から新たな連載が始まります。題して,「『情報』とはなにか」。情報の本質を再定義します。(KM)
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