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情報界のトピックス
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2017 年 60 巻 4 号 p. 294-295

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ミャンマーの2大学がオープンアクセス機関リポジトリを開設

リトアニアに本部を置く非営利組織EIFL(Electronic Information for Libraries)は5月12日,ミャンマーのマンダレー大学とヤンゴン大学がオープンアクセス機関リポジトリを開設したことを発表した。それぞれの収録件数は,「マンダレー大学オープンアクセス機関リポジトリ」が134件,「ヤンゴン大学機関リポジトリ」が144件となっている。EIFLは,開発途上国の図書館と協力し,デジタル情報等へのアクセスを推進している組織。ミャンマーでは,2014年に開始した「eLibrary Myanmar」プロジェクトの下で,同国の大学図書館が教育や研究,学習を効果的に支援できるようサポートしている。2017年12月までの予定で行われている同プロジェクトには,開始当初から参加した上記2大学を含めて,合計10大学が参加している。軍政下での事実上の鎖国状態が長く続いたミャンマーの大学図書館では,所蔵数がとても限られているうえ,EIFLのプロジェクトの開始前は,雑誌などのオンライン購読契約をしている図書館が1館もない状態だった。EIFLが出版社と交渉を行った結果,同プロジェクトの参加大学では学術雑誌や書籍,データベースなど40以上の電子リソースが利用可能になっている。

「オープンデータバロメーター」公開,日本は世界8位

ワールドワイドウェブ財団は5月23日,世界各国・地域政府のオープンデータへの取り組みを評価した報告書「オープンデータバロメーター」第4版を発表した。115か国・地域政府を,オープンデータへの対応状況,推進プログラムの実施状況,ビジネスや政治,市民生活に与える影響の3項目に基づきランク方式で評価した。その結果,1位英国,2位カナダ,3位フランスとなり,日本は8位となった。評価対象とした全政府データのうち,93%がオープン化されておらず,機械で読み取り可能なものも約5割にとどまるなど,対応の遅れが指摘された。特にオープン化が求められるデータセットが依然オープン化されていなかったり,オープン化されていても,そのタイミングや品質などに問題がある場合も多かった。オープンデータバロメーターは2013年に第1版が公開され,2015年に第2版,2016年に第3版が公開されている。

「大宅壮一文庫」存続のためのクラウドファンディング

日本で初めての雑誌図書館である「大宅(おおや)壮一文庫」は5月18日,同文庫存続のためのクラウドファンディングを開始した。6月30日までの予定だが,開始後3日間で目標金額の500万円を達成し,6月5日時点で約650万円が集まっている。同文庫は評論家であった大宅壮一の約17万冊に及ぶ雑誌コレクションを引き継いで,1971年に開設された。明治以降の雑誌約1万タイトル78万冊を所蔵しており,来館での閲覧の他,データベースによる雑誌検索も行える。クラウドファンディングを実施する同文庫事務局によると,近年,インターネットによる情報アクセスが簡単になり,文庫の直接利用者数が減少したことで,従来どおりの運営が難しくなったという。事務局は雑誌について,「新聞やニュースなどよりも入念な後追い取材が可能で,書籍よりも軽いフットワークで身近な話題を取り上げられるメリットがある」としている。クラウドファンディングのリターンとしては,支援額に応じて,来館料(通常500円)が一定期間無料になるコースや,同文庫の裏側を見学できるコースなどがある。集まった資金は,人件費や施設・備品の補修や購入の他,データベースシステムの改修費などに充てるとしている。

Google Assistant日本語版公開

Googleは5月29日,Android端末用音声アシスタント機能「Google Assistant」の日本語版を公開した。自然言語処理技術によってユーザーの言葉を理解し,音声対話の形で情報を調べたり,ユーザーに特化したサポートを行う機能で,Appleの「Siri」などと競合する。Google MapやGmail,YouTubeなど,広く利用されているGoogleのサービスを音声で直接操作できる。英語版は2016年5月に公開されていたが,日本語版は公開されていなかった。英語版はすでに,Googleの自動車向けプラットフォーム「Android Auto」や,家庭用ガジェット「Google Home」,さらにはiOSなどの他社OSや,スピーカーや玩具などのサードパーティー製ハードウェアにも対応しており,プラットフォーム横断型のアシスタント機能となっている。日本語版は,現時点ではGoogle Playアプリを搭載しているAndroid 6.0以降のスマートフォンが対象となっているが,今後はiOS版も提供する予定である。

音楽教室への著作権料徴収問題,集団訴訟へ

「音楽教育を守る会」は5月30日に開催した総会において,日本音楽著作権協会(JASRAC)による音楽教室からの著作権料徴収の方針に対し,使用料の支払い義務がないことの確認を求める訴訟を行うことを決定した。今後,賛同する会員団体で原告団を結成し,7月頃をめどに東京地方裁判所に提訴する。同会は,JASRACの方針に対応するため,ヤマハ音楽振興会が中心となり,河合楽器製作所や全日本ピアノ指導者協会など5社・2団体が発起人となって2017年2月に発足した。5月29日現在の会員は338にのぼる。

研究成果のオープンデータ化を含む基本計画を閣議決定

政府は5月30日,「世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」について閣議決定した。官民データ活用推進基本法に基づくもので,電子行政,健康・医療・介護,観光,金融,農林水産,ものづくり,インフラ・防災・減災等,移動の8重点分野ごとに,重点的に講ずべき施策を示している。取り組みのスケジュールとしては,3年後の2020年を一つの区切りとした目標等を定めるとしている。この基本計画では,オープンデータ促進のために重点的に講ずべき施策として,「ものづくり分野」で「公的研究資金による研究成果のオープンデータ化の推進」を挙げている。科学技術研究活動の効率化と生産性の向上を目指し,2020年までを集中取り組み期間として,研究データや論文等の研究成果のオープンデータ化を推進するとしている。

 
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