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情報管理
Vol. 60 (2017) No. 7 p. 537-539

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http://doi.org/10.1241/johokanri.60.537

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情報界のトピックス

ドイツオープンデータ法が成立

7月13日,ドイツ初のオープンデータ法が成立した。同法は改正電子政府法の一部であり,連邦政府に所属するすべての公的機関は,公的業務あるいは第三者機関を通じて取得した生データを,収集直後(あるいは公開可能になればすぐに)機械可読方式で公開する義務が生じる。また,オープンデータを担当する支援機関が設立される予定である。ドイツでは2011年頃から,連邦政府のオープンデータ戦略に関するパブリックデータの募集などが行われてきたが,2016年9月になって,メルケル首相がオープンデータ法の制定を目指すことを発表していた。政府の当初案に対しては,データ公開の義務化や,データ公開の期限(連邦政府が議会にデータ公開の定期報告をする頻度)の短縮などを求める声が上がっており,最終案にはそうした意見におおむね沿う形で修正が加えられた。

特許における研究論文の引用状況を示すランキング

Natureは8月9日,大学・研究機関の学術研究におけるイノベーションへの貢献度を示す指標として,特許における研究論文の引用状況を分析したランキングを発表した。研究を行った各大学・研究機関自体のもつ特許ではなく,第三者が保有する特許の引用状況を分析することで,研究が製品・サービス開発に与えた影響度が明らかになるとしている。分析には,オーストラリアの非営利組織Cambiaとクイーンズランド工科大学が運営する「The Lens」を使用している。1位はスクリプス研究所,2位はロックフェラー大学,3位はマサチューセッツ工科大学(いずれも米国)で,上位50機関中38機関を米国の研究機関が占めた。その他の国・地域では,6位にワイツマン科学研究所(イスラエル),16位にストラスブール大学(フランス),21位にジュネーブ大学(スイス)が入った。日本では,大阪大学が31位,理化学研究所が39位,京都大学が53位,東京大学が95位。

化学のプレプリントサーバー「ChemRxiv」のβ版公開

米国化学会(ACS)は8月14日,化学分野のプレプリントサーバー「ChemRxiv」のβ版公開を発表した。運営はACSが行い,オンラインデジタルレポジトリサービスである「Figshare」の新しいプレプリント機能を使用している。またβ版構築にあたっては,ACS,英国王立化学会,ドイツ化学会等が戦略的助言を行った。ChemRxivは,物理学分野の「arXiv」,生物科学分野の「bioRxiv」にならう形で,2016年から設立に向けた準備が進められてきた。2017年から2018年にかけてさらにアップデートを行い,機能を向上させていく予定。

電子フロンティア財団,ネオナチWebサイト排除の動きに警鐘

米国の非営利団体・電子フロンティア財団(EFF)は8月17日,「ネオナチとの戦いと表現の自由の未来」と題する声明を発表し,8月12日のバージニア州シャーロッツビルでの極右団体と反対派の衝突事件を受けて,インターネット上からネオナチWebサイトを締め出す動きが進んでいることに警鐘を鳴らした。事件後,ネオナチWebサイト「Daily Stormer」は,極右団体の車によってひき殺された反対派の女性を中傷する記事を公開。これに対し,米国のドメイン管理業者であるGoogle DomainsやCloudflareなどが,同Webサイトのドメインを停止するなどの措置を取っていた。

EEFの声明では,「Daily Stormerは反ユダヤ主義やネオナチ,白人至上主義を広めようとしている」とする反人種差別団体の言葉や,「(Daily Stormerなどは)インターネットにいることを許されるべきでない」とするCloudflareのCEOの言葉を引用し,国中に広がるヘイトに満ちた暴力や攻撃に立ち向かわなければならないとしている。その一方で,「インターネット上でネオナチを黙らせるための方法はすぐに,われわれが賛同する人々にも使われるようになることも認識する必要がある」と指摘し,透明性の低いサービスによって,数多くのサービス停止措置が人目に付かない形で行われることを危惧している。特にDNS(Domain Name System)を運営するサービスが自らの政治的思想に基づいてドメインを停止するようになれば,政府なども同じような手段を取ることを懸念し,差別的なコンテンツのコントロールポイントとしてDNSを利用することは避けるべきだとしている。(Daily Stormerはその後,専用のブラウザなどがなければ接続できず,Google検索などでも表示されない,いわゆる「ダークウェブ」に移行している)

エストニア,独自の仮想通貨導入を検討

エストニアは,外国人でも「デジタル住民」として登録すればオンラインでの起業などができる「e-Residency」の一環として,国としては世界初となる独自の仮想通貨「Estcoin」の導入を検討している。e-Residencyのマネージングディレクターを務めるKaspar Korjus氏が8月22日,ブログプラットフォーム「Medium」への投稿で明らかにした。

人口約130万人の小国であるエストニアは電子立国政策「e-estonia」を進めていることで知られており,行政や銀行などの電子サービスを使用できるIDカード(日本のマイナンバーカードに相当)の普及率が98%に達している。さらに銀行取引の99%がオンラインで行われている。「e-Residency」は2014年に開始。これまでに138か国・地域から2万人以上が登録し,4,000社近くの企業が設立されている。コージェス氏の投稿によれば,仮想通貨「Estcoin」はe-Residencyを通じて世界中からアクセスすることができ,株式の「IPO」(新規公開株)になぞらえて,「ICO」(新規公開仮想通貨)の形でスタートさせるという。Estcoinを通じて得られた資金は官民パートナーシップ(PPP)により管理し,人工知能などの新技術開発への投資や,ベンチャーキャピタルとしてデジタル住民のビジネスを含むエストニアの企業の支援などに使われる予定。コージェス氏によれば,Estcoinはまだ国の政策として組み込まれてはいないものの,e-ResidencyのWebサイト内にはすでにEstcoinサイトが立ち上げられている。またハッシュタグ「#estcoin」を通じて意見を募集している。

医療情報DB「MID-NET」,本格運用開始に向け利活用ルール公表

厚生労働省は8月21日,2018年度から本格運用開始予定の医療情報データベースシステム「MID-NET」の利活用ルールを公表した。医薬品の安全対策は従来,主に製薬企業や医療機関からの報告に基づいて実施されてきたため,すべての副作用が報告されるとは限らない,医薬品の投与数が不明なため副作用頻度を算出できない,企業が医療機関から個別に情報収集するため高コストになる,といった限界があった。MID-NETはそうした問題を解決し,医薬品安全対策の高度化を推進することを目指して構築が進められてきた。具体的には全国23病院の電子カルテ,レセプト,検査データなどから抽出されたデータで検索・調査を行い,副作用を分析・評価する。本格運用後には,行政や製薬企業,大学などの研究者による利活用が可能になる。今回公表された利活用ルールでは,その目的を(1)医薬品等の安全対策,(2)公益性の高い調査・研究としており,有識者会議において,目的,内容,利活用する情報の範囲,情報の管理方法等を事前審査するとしている。また,利活用の結果は原則公表とし,ルールの逸脱,情報漏えい等にはペナルティーを科すとしている。

ID連携による,新たな教育支援プラットフォームを提供

Classi(クラッシー)株式会社(ベネッセホールディングスとソフトバンクの合弁会社)は8月25日,さまざまな教育サービスを利用可能にする,「Classiプラットフォーム」を提供すると発表した。同社は,2015年に開始した学習支援クラウドサービス「Classi」で,1,000以上の単元と6段階の難易度から最適な学習をレコメンドする「アダプティブ・ラーニング学習動画」をはじめとする学習コンテンツの他,学校・学年・クラス・部活といった単位でのコミュニケーションの基盤となる「校内グループ情報」や,学校内の活動結果を蓄積する「生徒カルテ」などにより,学校活動全体のICT化を支援してきた。2017年8月時点で,全国2,000校で導入されている。新たに提供するClassiプラットフォームでは,OpenID Connectの規格に対応したID連携によって,各社の教育サービスを共通のIDで利用できるようにした。さらに教師が授業で利用できる協働学習ツールや,英語学習ツール,プログラミング教育ツール,部活コーチングのための映像編集・コミュニケーションツールなどが用意されている。

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