学術系クラウドファンディングacademistを「情報管理」で取り上げたのは2015年1月のことでした。2014年4月にリリースされたacademistは,「深海生物テヅルモヅルの分類学的研究」と「太陽フレアの機構と宇宙天気予報の研究」の2プロジェクトが目標額を達成したところでした。あれから3年。Webサイトを見ると,プロジェクトの8割近くは目標額を達成し,すでに40を超えるプロジェクトが資金を獲得しています。
今号「集会報告」の「科学コミュニケーション研究会 年次大会」は,学術系クラウドファンディングがテーマです。研究会で今後の課題が議論されるのはそれだけ日本に定着してきたということではないでしょうか。このほかに,国際人工知能学会(IJCAI)と,屋内測位と屋内ナビゲーションに関する国際会議(IPIN)の集会報告を掲載しました。
「チームサイエンスの科学(SciTS: Science of Team Science)」という学際的研究分野を遅ればせながら知りました。多分野の研究者がチームを組んで研究するにあたっては個人研究とは異なる課題があります。10月29日の研究イノベーション学会では,SciTSの日本推進を考えるハテナソン(質問するワークショップ)が行われたとのこと。今後の集会報告で情報共有したいと考えています。
「21世紀型スキル」という言葉にも出会いました。21世紀型スキルの学びと評価のATC21s(Assessment and Teaching of 21st Century Skills)プロジェクトは,4領域10スキルを定義しています。「働くためのツール」領域では「情報リテラシー」「ICTリテラシー」を,「働く方法」領域では「コミュニケーション」「コラボレーション(チームワーク)」をスキルとして掲げています。
9月号の「博士人材の研究公正力(1)」に「移転可能スキル(transferable skills)」が出てきました。移転可能スキル,すなわちアカデミアのみならず社会で広く活躍する人材育成のためのスキルは,21世紀型スキルに通じると感じました。学びの場における方法論の検討が必要とされています。(KM)