2020 年 5 巻 4 号 p. 82-87
序文 : 乳房一次二期再建におけるエキスパンダー挿入術は, 術後に強い疼痛を伴うことが多い。エキスパンダー挿入術の術後疼痛に対して持続前胸壁ブロックによる疼痛管理を行い, その有用性を検討した。
方法 : 当院で乳房一次二期再建にてエキスパンダー挿入術を行った症例を対象として, 術後, 持続前胸壁ブロック施行群と非施行群に大別し, visual analogue scale (以下VAS) を用いて, 乳房および腋窩の疼痛の強さ, 手術後の鎮痛薬の使用状況を後ろ向きに比較検討した。
結果 : 翌朝までの最大VASは乳房・腋窩ともに持続ブロックあり群で有意に低く, 翌朝までに鎮痛薬を使用した症例数も, ブロックあり群で有意に少なかった。術後最初に鎮痛薬を内服するまでの時間は, ブロックあり群でより長い傾向にあったが, 有意差は認めなかった。
考察 : 持続前胸壁ブロックは, 乳癌術後エキスパンダー挿入術周術期の疼痛緩和に寄与する一つの方法であると考えられた。