2021 年 6 巻 3 号 p. 52-59
整容性と根治性を両立させる Oncoplastic breast surgery とはいえ, 乳腺外科医は乳癌組織を完全に, そして安全に取りのぞくことに重きを置くため, 過度な組織切除を行う傾向がある。
そこで, 過不足のない Oncoplastic breast surgery を見出すために, 同一術者により執刀された乳癌手術症例における, 局所再発危険因子の解析そして同定を行った。この解析結果によると, 術後の局所再発は, 外科的局所治療因子ではなく, 患者背景因子に影響されることが示唆された。そして, 慣習的に行われている腫瘍直上皮膚切除を必ずしも行う必要はなく, 最小限の組織切除でも根治性の低下はみられないと考えられた。
あらかじめ術前の段階で, 患者背景による局所再発危険因子を想定したうえで, 適切な最小限の組織切除になり得る個別化された Oncoplastic breast surgery を考案する。