歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
コレステロール代謝におよぼす唾液腺摘出の作用
鎌田 勉中村 治雄
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1977 年 19 巻 4 号 p. 491-499

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抄録

唾液腺摘出は生体のコレステロール代謝に対し, 次のような影響を与えた。1.舌下腺, 耳下腺, 顎下腺摘出1カ月後では, マウスの体重は対照より減少し, 肝重量も減少した。肝コレステロール値は増加し, 肝コレステロール生合成は酢酸からもメバロン酸からも減少した。肝コレステロールの組織からの消失には対照と有意差がなかった。2.舌下腺と顎下腺摘出5週後では, 体重, 肝重量は対照と変化がないが, 耳下腺は肥大した。コレステロール値は肝では変化なく, 耳下腺では減少した。酢酸からの生合成は, 肝, 耳下腺ともに増加した。3.耳下腺摘出1カ月後では, 体重, 肝重量は対照と変化がないが, 舌下腺, 顎下腺は肥大した。コレステロール値は, 肝, 舌下腺では対照と変化がないが, 顎下腺では減少した, コレステロール生合成は, 肝では酢酸からもメバロン酸からも増加したが, 舌下腺では変化なかった。4.舌下腺摘出1カ月後では, 酢酸からの肝コレステロール生合成が減少した。このように, 1唾液腺の摘出によっても, 肝コレステロール生合成が影響をうけることが明らかとなった。

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