歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
交感神経薬および副交感神経薬のマウス唾液腺コレステロール代謝に及ぼす作用
根津 恵理子中村 治雄
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1977 年 19 巻 4 号 p. 500-506

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抄録

交感神経薬のIsoproterenolとDibenamine, 副交感神経薬のPilocarpineとAtropineを用いて, マウス唾液腺 (顎下腺, 耳下腺, 舌下腺) における総コレステロール値, コレステロール生合成 (invivoとin vitro) およびコレステロール-4-14Cのuptakeについて調べた。薬物7日間連続投与後, 3唾液腺ともIsoproterenolで重量の増加, 総コレステロール値の減少かつコレステロール生合成の増加をきたし, またコレステロールのuptakeは増加 (耳下腺, 舌下腺) また変化のない (顎下腺) ことなどから, 肥大と細胞増殖によって成長に必要なコレステロールが唾液腺に移送されるため, コレステロールのuptakeが増加すると思われる。また総コレステロール値が減少しているので, これを補うために, feedback機構が作用してコレステロール生合成を増加させるものと考えられる。これに対して, Pilocarpine, Atropine, Dibenamineはコレステロール生合成について, わずかに変動があるだけで, コレステロール代謝には強く作用しないようである。また交感神経刺激薬Isoproterenolと抑制薬Dibenamineまたは副交感神経刺激薬Pilocarpineと抑制薬Atropineを比較するとコレステロール代謝に変化のあるものがみられた。

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