歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
食物の粉砕能に及ぼす口腔粘膜および歯根膜の感覚の影響について
岡 卓爾
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1977 年 19 巻 4 号 p. 524-533

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抄録

咀嚼機能に対する口腔粘膜および歯根膜の感覚が食物粉砕能にどの程度の影響を及ぼしているかを具体的に明らかにするため, 健全歯列者について, 歯肉 (あるいは) 歯根膜を, またそれにさらに頬粘膜を麻酔したときに認められる感覚機能障害に伴う咀嚼機能 (ピーナッツの粉砕能) の低下度から, 食物粉砕能に及ぼす歯肉, 歯根膜および頬粘膜の感覚の影響を検討した。
麻酔による感覚障害は, こまかいピーナッツ粒子よりもあらい粒子において現われる。これは, 歯肉, 歯根膜, 頬粘膜および舌の感覚と頬や舌の運動との協調によって行われる食物の運搬作用や食物選択作用などの働きが低下することによる。
また, 咀嚼値および咀嚼能率は, 歯肉麻酔では非麻酔時のそれぞれ97.3~98.5%および92.3~94.8%に, また歯根膜の麻酔によってそれぞれ92.1~93.9%および76.6~81.5%に, さらにそれに頬粘膜をも併せ麻酔するとそれぞれ82.5%および58.1%に低下した。

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