1977 年 19 巻 4 号 p. 580-586
口腔スピロヘータにおける球状体の形成条件の一つとして, 今回は浸透圧に注目し, 培養液の浸透圧が球状体形成とどのような関係にあるかを, 氷点降下法により検討を試みた。
グルコース, スクロースまたはラフィノースを添加することによって培養液の浸透圧は高められたが, 一定の値, およそ11atmに達したときに球状体が形成されはじめた。培地浸透圧が18atmを越えると菌体は異常な形態を呈し, 球状体は観察されなかった。
これらの結果から, スピロヘータの球状体形成を規定する条件として培養液の浸透圧が重要であり, 先に報告した糖類加培地中の多数の球状体は, 糖類によって培地の浸透圧が高められた結果として形成されることが知られた。