歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
唾液内乳酸代謝に対するアミンの作用
和田垣 裕一
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1977 年 19 巻 4 号 p. 587-604

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抄録

唾液内でアミンを産生するといわれている5種のアミノ酸 (ヒスチジン, オルニチン, アルギニン, グルタミン酸およびリジン) を唾液に添加しインキュベートを行ない, 乳酸量, pHを調べた。ヒスチジン, オルニチンを添加した場合, 特に乳酸量の増加が認められ, しかもpHの低下は抑制された。
ヒスチジンを添加した場合のpH低下抑制はそのイミダゾール基による酸緩衝作用と考えられる。一方オルニチン添加による同効果は脱炭酸生成物であるプトレッシンのアルカリとしての酸中和作用が考えられた。いずれの場合もpH低下が抑制され乳酸生成に適した中性から弱酸性の範囲に長く保持された結果乳酸量が増加したと思われる。しかし, さらにプトレッシンの唾液微生物乳酸生成に対する影響を調べたところ, 微量で乳酸生成を促進することがわかった。また, プトレッシン添加濃度と乳酸生成との関係は, streptococciとlactobacilliでは異なることもわかった。

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