咀嚼機能に対して咀嚼速度がどの程度影響しているかを明らかにするため, 健全歯列者を対象として, 咀嚼速度を種々の速度で規定して咀嚼させ, ピーナツ粉砕能およびチューインガム溶出糖量を測定した。咀嚼速度は各被験者の習慣性の速度を基準にして変更した。
咀嚼速度を速くするとピーナツの粗い粒子の残留量が増加し, ガムの溶出糖量は減少した。一方, 咀嚼速度を遅くするとピーナツの中程度の粒子の残留量が増加し, ガムの溶出糖量も増加した。
咀嚼値と咀嚼時間の間に関係はなく, 任意の速度で咀嚼させたときの咀嚼値が最も高く, 咀嚼速度を速くしても遅くしても咀嚼値は低下した。
ガム溶出糖量は咀嚼時間と相関があり, ゆっくり咀嚼させればそれだけ溶出糖量が増加した。