1979 年 21 巻 1 号 p. 55-77
辺縁性歯周炎罹患患者から, 初診時ならびにbrushingやscalingといった前処置後に歯肉を, また2群のモルモットの歯肉に口腔内細菌を注射し, 経時的にその部の歯肉を採取した。これらの歯肉についてBarkaとAndersonの方法に基づき, LDH, NAD-MDH, NAD-ICDH, GDH, β-HBDH, α-GDH, ADH, NADPMDH, NADP-ICDH, G6PDH, 6PGDH, NADHDH, NADPHDH, SDHの各酵素活性を検出した。さらにOgawaらの方法により, ヒト炎症歯肉のSDHの活性を電顕的細胞化学的に検索した。電顕的観察では, 下部上皮層の細胞のmitochondriaに電子密度の高い沈着物がみられた。光顕的観察から, 炎症の程度や時間の経過によって酵素活性に変動が認められ, とくに貧食や増殖に関与するmacrophageやfibroblastなどの細胞の酵素活性の増強が観察された。