歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
ニジマス (Salmo gairdneri irideus) 仔・稚魚の口部形態および歯の分布について
駒田 格知
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1979 年 21 巻 1 号 p. 89-106

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抄録

サケ科魚類の口腔および咽頭には多数の歯がみられ, これらの歯の分布状況は, 鋤骨・口蓋骨・舌骨等の口部骨の形態と共に一つの分類形質として認められている。しかし, これらの口腔にある分類形質が成長に伴ってどのように変化するかに関しては不明な点が多い。そこで, サケ科魚類の一種ニジマスの仔・稚魚の口部形態および歯系について調査し, 成長に伴ってこれらがどのように変化するかについて検討した。ニジマスの標準体長および体重は孵化後2ケ月間はほとんど変化しないが, その後かなり急激に増大する, そして卵黄の吸収は2ケ月齢から3ケ月齢にかけてほぼ完了する。一方, 口部骨格系や歯系は1ケ月齢の頃に形成され始め2ケ月齢頃までゆっくりと進行する。しかし, その後は急激に進行し3ケ月半を経過した頃 (標準体長25.0mm) にはほぼ完成し, 5ケ月齢 (標準体長36.Omm) の稚魚においては, 口部骨格, 特に鋤骨や咽舌骨の形態および歯の分布状況は基本的に成魚のものと差異がみられなくなる。すなわち, 口部骨格や歯系の形成が進行し, 完成される時期は, 卵黄の吸収が完了する時期とほぼ一致することが判った。

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