歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
モモジロコウモリ, Myotis macrodactylus (Temminck)(ヒナコウモリ科) の成長と発育
(2). 乳歯と永久歯およびそれらの置換
前田 喜四雄
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1979 年 21 巻 3 号 p. 476-489

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抄録

モモジロコウモリ, Myotis macrodactylus (Temminck) の乳歯と永久歯の形態, それらの成長と置換および歯数異常について研究を行ない, さらに他のコウモリ類と比較した。乳歯を含めた歯式は120. 1. 1034. 123 121. 34./123. 1. 34. 123. 1. 1034. 123であった。全乳歯は出生時にはえそろいしかも成長を終えていた。乳歯の脱落は10日齢頃に始まり, その順序はdI1-dI2-dPM4, dPM4-dI3-dPM3, dPM3-dC1-dI1, dI2, dC1で30日齢頃完了した。乳歯の形態の歯種による差違は少なく, 一方永久歯の形態とは非常に異なっていた。欠失歯を持つ個体の出現率は2.8%(標本数458) であり, その過半数が上顎第三小臼歯の欠失個体であった。永久歯は出生時すでにM1, M2, M1, M2, PM1が歯槽縁より突出しており, 4日齢でM3とPM4が新たに加わった。その歯槽縁からの萌出はM1-M1-M2-M2-PM1-M3-PM4-PM4-PM1-I1-I3-M3-C1-I2, C1-I1-I2, PM3-PM3の順であり, 21日齢には一揃いの歯がはえそろった。それらの歯はその後も成長を続け, 30日齢をすぎると全歯が成体のそれらと同じ大きさになった。

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