歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
歯根膜の脈管神経隙の形態学的研究
江川 薫新村 明達滝口 励司
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1979 年 21 巻 3 号 p. 490-497

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抄録

歯根膜は, 密な結合組織線維束で構成されているが, この線維束の間には, 疎性結合組織で束ねられた脈管神経束を収容している脈管神経隙が, きわめて多数存在する。成人の健全と思われる歯根膜の連続切片を検索した。脈管神経隙は, 根尖部付近, 中央部付近および歯頸部付近のそれぞれの高さにおいて, その形態, 大きさ (100×20μ-1200×800μ), 配列が異なる。歯根膜の水平断面によると, 根尖部付近の脈管神経隙は2列に, 中央部付近のものは1列に, 歯頸部付近のものは3列になっている。歯根膜の脈管神経隙は, 歯肉の粘膜固有層にまで進入している。
脈管神経隙は, 歯根面に接する側の歯根膜では棚状のワナを形成している。
脈管神経隙は, 顎骨の海綿質の骨髄腔から歯槽壁を歯頸側に向かって斜めに貫通し, 歯根膜を歯槽壁に沿って歯頸側に進入している。
脈管神経隙は, 歯根膜を構成する線維束とともに, 咀嚼圧の緩衝帯の役割を果している。

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