1979 年 21 巻 4 号 p. 629-636
sanguisの同定には, 現在でも生物学的性状が重視されているようであるが, 緑色レンサ球菌中には, 生物学的性状がS.sanguis type Iに類似しているが, 血清学的には異なる菌株のあることと, 抗原の制造が比較的容易であることなどから, 本菌種の同定は血清学的に行うべきものと考え本研究を試みた。
抗原はRantz and Randall法によって作り, 抗血清はフォルマリンで処理した菌体をウサギに注射して作った。血清学的実験には沈降反応 (重層法) を用いた。
多くの分離菌株で作った2倍稀釈抗原をもって, 色々の抗血清について, 試験的に沈降反応を行って, S.sanguis type I抗血清に早く強く反応する39菌株を得た。さらに, これらの菌株について実験し, 35株をS.sanguis type Iと同定した。
S.sanguis type IはChallis株およびM-5株と血清学的にほぼ同じような性状を示すが, レンサ球菌H群8144株, 12396株, F90A株, Wicky株などとは異なるようである。