歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
咀嚼筋τ-S関係の研究
山田 清隆
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1980 年 22 巻 2 号 p. 274-283

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抄録

咀嚼筋についてτ-S関係を求め, 正常者および異常者を針電極と表面電極法で比較検討し, 臨床における診断と治療への応用の可能性を検討した。咀嚼筋各々のneuromuscular unit (NMU) は敏捷な運動に由来する左偏したkinetic NMU (k) と持続的な収縮に由来する右偏したtonic NMU (t) の二つの放電群に分けられた。正常顎機能者では強い収縮時にはばらつきが少なくて比較的長い水平部分を形成し, 逆に弱い収縮時でもばらつきはあるものの小さい傾向のものであった。また, 顎機能異常者では強い収縮時でも正常者と比較し, ばらつきが大きく標準偏差値 (S) が大きくなる傾向が認められた。しかもk, tとも立ち上り点が左方へ偏位した。占有率は正常者ではk曲線に, 異常においては逆にt曲線に沿って分布していた。
以上の結果よりτ-S関係を計測することにより, 今まで勘にたよっていた僅かな顎機能異常を数量的に表現することが可能となるものと思われる。

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