歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
22 巻, 2 号
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  • II. 定量的分析
    杉本 朋貞
    1980 年 22 巻 2 号 p. 159-173
    発行日: 1980年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    出生直後から成熟個体に至る各種日数のS. D. 系ラットの閂レベルでの三叉神経脊髄路を電顕的に観察し, 軸索直径と有髄率を計って髄鞘発生様式を検索し, 有髄線維については軸索直径と髄鞘の厚さの相関性を検討した。尚, 直径0.5μ 未満の軸索は神経膠細胞の突起との区別が困難のため計測から除外した。
    軸索直径の分布範囲は出生直後から成熟個体に至るまでほとんど変化を示さず, その上限は約4.5~5.0μであった。軸索直径の経時的変化は, 軸索直径の平均値の増加または細い軸索の減少及び太い軸索の増加として現われた。軸索直径の増加は生後5日目以前と18日目以後の2時期において認められた。
    出生直後においてほぼ0%を示す有髄率は生後5日目から18日目にかけて増加し, 21日目で成熟値 (約90%) に達した。生後7日目までは, 計測された軸索直径の全範囲 (0.5~4.5μ) に亘って無髄線維が認められた。
  • II. ミエロペルオキシダーゼによる発癌性マイコトキシンの酸化分解
    小田島 武志
    1980 年 22 巻 2 号 p. 174-180
    発行日: 1980年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    発癌性マイコトキシンとして知られているアフラトキシンB1, B2, G1及びG2がミエロペルオキシダーゼー過酸化水素一塩素系によって効果的に酸化分解された。
    質量分析の結果からミエロペルオキシダーゼー過酸化水素一塩素系によって酸化されたアフラトキシンB1の酸化生成物の化学構造はアフラトキシンB1分子に酸素1原子が導入された構造が予想され, この反応は次式のように要約される。
  • 第2報: アレルギー性歯周炎におけるIgGの動態とその免疫学的性状について
    竹内 宏, 松田 信介, 金久 純也, 太田 一男
    1980 年 22 巻 2 号 p. 181-187
    発行日: 1980年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    第1報において, ヒト口腔内細菌可溶性抗原の反復接種により, アレルギー性炎とみなし得る歯周炎を観察し得たが, 今回, この炎症の本態をより明確にすべく, IgGを中心に, その動態と性状を検討した。その結果, 炎症局所のIgGは, 滲出物と免疫担当細胞に局在し, 抗原接種回数の増加に伴って, 経時的に主体を占めるようになることを観察した。
    また, 同抗原に対する特異沈降抗体を保有するに至った血清は, PCA惹起能はないものの, 受身アルサス反応惹起能を有していた。
    以上から, 本炎症はCoomb and GellのいうIII型のアレルギーに起因するものであると結論し得た。
  • 岩見 憙道
    1980 年 22 巻 2 号 p. 188-198
    発行日: 1980年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    口腔連鎖球菌の解糖反応の律速段階を明らかにするため, S. mutans PK1とS. sanguis NCTC10904株の休止菌のグルコース消費速度, 乳酸生成速度, 解糖中間体の菌体内濃度を測定した。これらの測定値から計算した質量作用比と平衡恒数を比較し, S. mutansではATP-グルコースホスホトランスフェラーゼ (AGPT), ピルベートキナーゼおよび乳酸脱水素酵素によって, S. sanguisではAGPTとピルベートキナーゼによって触媒される反応が律速段階であることが分かった。さらにこれら両菌で反応溶液のpHを変化したときの解糖中間体の菌体内濃度の変動から, 酸性pHで解糖速度が減少するのはAGPTにより触媒される反応の阻害のためであること, この阻害はS. mutmsよりもS. sanguisで強いこと, また, S. mutansでのフッ素添加による解糖速度の減少はAGPTとエノラーゼによって触媒される反応の阻害のためであることが考えられた。
  • 小川 裕三
    1980 年 22 巻 2 号 p. 199-226
    発行日: 1980年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    NaF, SrCl2, EHDPの1回注射によるラット切歯の基質形成期エナメル質および唇側象牙質における変化を観察した。エナメル質では, すべての投与群に低石灰化層が基質形成期のエナメル質の成長線に一致して認められた。これは, エナメル芽細胞の障害に基づく異常有機基質の貯溜に起因するものと考えられる。さらに, NaF投与群では低石灰化層の象牙質側に高石灰化層が認められ, この部の結晶は, F-の作用によると考えられる成長促進像を示した。また, SrCl2投与群では低石灰化層のエナメル芽細胞側に高石灰化層が認められ, このものは, 障害されたエナメル芽細胞の形成した異常基質と, Sr2+による溶解度積減少に起因するものと考えられる。一方, 象牙質では, すべての投与群にエナメル質側と歯髄側の二本の反応層が認められた。前者は, 注射時の石灰化前線部における石灰化障害によって, 後者は, 象牙前質形成端における基質異常によるものであることが明らかにされた。
  • 浦郷 篤史, 大家 清, 李 載仁, 徳富 敏信, 末森 多賀生, Aurora MATSUZAKI
    1980 年 22 巻 2 号 p. 227-237
    発行日: 1980年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    時間病理学的立場から厳選した43剖検例下顎骨 (11歳~72歳) の97歯を用い, 歯根膜の加齢的変化について組織学的検索を行った。32症例の左側の全歯植立部を脱灰標本とし, また28例の右側は非脱灰標本を作製して観察を加えた。
    25歳以上の固有歯槽骨では, 骨融解機転を主とした生理的吸収 (水平的および垂直的) がみられ, その外基礎層板は消失する傾向を示した。この吸収部にほぼ一致して歯根膜の線維の粗化, 断裂, 硬化, および血管の拡張, 狭小化, 分布減少が認められ, 歯根膜腔の狭窄部では線維の縦走化を伴っていた。歯根膜のセメント質側および骨側の細胞数は加齢に伴って減少したが, とくに骨側においてその程度は著しかった。これらの所見から, 歯根膜組織の老化は幼若細胞の減少に基づく変化であり, さらに固有歯槽骨外基礎層板の吸収と密接な関連性があることを指摘した。
  • 五十嵐 治義, 佐藤 陽子, 浦井 仁子, 滝田 芳子, 遠藤 初恵, 浜田 節男, 川崎 徹
    1980 年 22 巻 2 号 p. 238-245
    発行日: 1980年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    benzoic acidとphenylacetic acidにγ-dialkylamino-β-hydroxypropyl (〓) を導入してesterificationした化合物10種を新たに合成し, それらの抗炎症作用始め腸管作用, 鎮痛作用などの薬理作用に, かなりの活性を有することについてすでに報告した。今回は, これら新化合物の化学構造と局所麻酔作用との相関性を検索することを目的として, 家兎による表面, 浸潤麻酔作用などの検定を行なった。その結果, 全化合物とも, 表面麻酔作用よりも浸潤麻酔作用の持続時間が長かった。また, alkylbenzoate誘導体 (II群) が, alkylphenylacetate誘導体 (I群) よりも表面, 浸潤麻酔作用とも持続時間の延長が認められた。一方, 麻酔導入においては, II群がI群よりもsharpであり, 消失し始めから完全に消失するまでの麻酔作用凝陽性の過程は両群とも優位の差は認められなかった。両群間の種々な作用における差異について, 立体分子モデルを用いて, 立体構造的および電子論的考察を加えた。すなわち, II群がI群よりも, 化学的, 立体構造的に安定性が大であること, また, receptorとの親和性が強いことなどが推論された。一方, 毒性面からこれらの化合物は, 普通薬に属していると思われる。
  • 小林 繁, 嶋村 昭辰
    1980 年 22 巻 2 号 p. 246-251
    発行日: 1980年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    ラット切歯の異常萌出については, Wiedersheimなどの報告があり, それぞれの症例について原因が検討されている。今回, 生後の発育日数が正確に記録されているラットの中に, 上下顎切歯ともに異常伸長している一例を見い出し, その肉眼的・X線学的観察を行い, 異常伸長の原因を検討した。下顎は右に2度偏位し, 異常伸長した上顎切歯は左に, 下顎切歯は右に偏位している。左上顎切歯は口腔側方向に彎曲し, 丁度円環を形成する。右上顎切歯は口蓋正中部粘膜から切歯孔に穿通している。下顎切歯は孤を描き, その左右切歯尖端は右鼻側部に達し, 同部に擦傷創を形成する。左上顎及び右下顎切歯尖端の形状は槍頭状で, 右上顎及び左下顎切歯は楔形を呈する。歯肉縁から尖端までの長さには左右差があるが, 咬耗期間の差によって起ったものと思われる。以上の所見から切歯の異常発育に至った原因は, 顎の偏位による上下切歯咬合の欠如に基づくものとみなされる。
  • 武部 裕光
    1980 年 22 巻 2 号 p. 252-262
    発行日: 1980年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    除脳ネコにおいて下顎を他動的に開口させると, 反射的に舌の後退が認められる。この顎舌反射の機構を, 閉口筋及び外舌筋の筋電図により検索し, 次の結果を得た。
    1) 側頭筋を側頭骨付着部より剥離すると, 開口により誘発される同側茎突舌筋の筋電図活動は消失した。又, 側頭筋を選択的に伸張する事により顎舌反射が誘発された。
    2) 咬筋神経切断, 顎関節嚢の麻酔は顎舌反射に何ら影響を及ぼさなかった。
    3) 顎舌反射は10度以上の開口により誘発されたが, これは側頭筋の伸張反射の閾値より十分大きかった。
    4) 側頭筋神経を100Hzで電気刺激すると, 同側茎突舌筋に筋電図活動が誘発されたが, このときの閾値は側頭筋神経の最も低閾値の線維の1.3~1.7倍であった。
    5) 下顎に振動刺激を与えると頻度が130Hz以下で茎突舌筋に筋電図活動が誘発されたが, それ以上の頻度の刺激では誘発されなかった。
    6) 三叉神経中脳路核への入力系路を遮断すると, 同側の茎突舌筋の筋電図活動は消失した。
    以上の結果より, 顎舌反射は主として側頭筋中の伸張受容器, 恐らくはゴルジ腱器官の興奮により誘発されること, 及びその反射経路としては中脳路核を経由することが明らかになった。
  • 深沢 勝彦, 深沢 加与子, 平岡 行博, 原田 実, 佐原 紀行, 荒木 信清, 鈴木 和夫, 浅沼 直和, 野村 浩道
    1980 年 22 巻 2 号 p. 263-268
    発行日: 1980年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    DAP IVの機能として, プロリン含有ペプチドの再吸収やSubstance PのSP5-11の生合成酵素である可能性が示唆されている。今回は, 酵素抗体法によりラットの口腔諸組織 (唾液腺, 歯髄, 舌, 口腔粘膜) の局在と活性量を明らかにした。
    精製した酵素は, 比活性50.3μmole・mg-1・min-1で得られた抗体と各臓器の抗原とはオクテロニー法で完全に融合した。本酵素は各組織に広く分布する事が判明したが, 特に唾液腺では導管部の上皮細胞, 歯髄では線維芽細胞, 舌および口腔粘膜では, 粘膜上皮と舌の筋層が陽性であった。
  • 佐野 正和, 松本 政雄
    1980 年 22 巻 2 号 p. 269-273
    発行日: 1980年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    皮膚における電気反射いわゆる精神電流現象と同様の現象が口腔粘膜においても現れるか否かの実験の報告である。実験方法はヒトの皮膚電気反射を記録する場合と同様の方法により, 手首等の皮膚に無関電極, 口腔粘膜の種々の部位に関電極を固定し, これらをWheastone bridgeの一辺に連結しbridgeには6Vの直流を適用した。被検者に対し皮膚の電気反射を検査する場合と同様に皮膚に対する痛みの刺激, 軽い電撃, 音等の刺激を与え, それによって現れた反応を記録した。被検者は成人男女 (男5名, 20~70歳, 女2名, 30~40歳) 7名で, それらの者の正常とみなされた口腔粘膜を実験に用い, 次の結果をえた。(1) 頬部, 舌下部の粘膜においては多くの場合皮膚反射と同様の反応が認められたが,(2) 硬口蓋粘膜および口唇移行部では反応が認められたことは殆んどなかった。(3) しかしこれらについては個人差が大であった。
  • 山田 清隆
    1980 年 22 巻 2 号 p. 274-283
    発行日: 1980年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    咀嚼筋についてτ-S関係を求め, 正常者および異常者を針電極と表面電極法で比較検討し, 臨床における診断と治療への応用の可能性を検討した。咀嚼筋各々のneuromuscular unit (NMU) は敏捷な運動に由来する左偏したkinetic NMU (k) と持続的な収縮に由来する右偏したtonic NMU (t) の二つの放電群に分けられた。正常顎機能者では強い収縮時にはばらつきが少なくて比較的長い水平部分を形成し, 逆に弱い収縮時でもばらつきはあるものの小さい傾向のものであった。また, 顎機能異常者では強い収縮時でも正常者と比較し, ばらつきが大きく標準偏差値 (S) が大きくなる傾向が認められた。しかもk, tとも立ち上り点が左方へ偏位した。占有率は正常者ではk曲線に, 異常においては逆にt曲線に沿って分布していた。
    以上の結果よりτ-S関係を計測することにより, 今まで勘にたよっていた僅かな顎機能異常を数量的に表現することが可能となるものと思われる。
  • 村井 繁夫, 中本 義勝, 伊藤 忠信
    1980 年 22 巻 2 号 p. 284-288
    発行日: 1980年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    局所麻酔効果を麻酔深度として表示できるモルモットのオトガイ神経麻酔法を用いて, 三種類の局麻剤の麻酔持続時間 (全麻酔時間) と深麻酔時間に及ぼすエピネフリン (Epi) の効果について検討した。深麻酔時間は400%以上の麻酔深度を維持する時間とした。5万~40万倍の範囲の種々の濃度のEpiを含む2%リドカイン, 2%プロカインおよび2%メビバカイン溶液において, 深麻酔時間の長さは全麻酔時間の長さと正の相関を示し, 全麻酔時間の約30~50%(深麻酔時間率) の範囲にあった。5万倍Epi添加2%プロカイン溶液の値を除いて, 各種局麻溶液の深麻酔時間率は, Epi濃度が変化しても大きな変動を示さなかった。以上の結果より, 全麻酔時間および深麻酔時間は両者とも添加されるEpiの濃度に依存して変化するが, 両者の比である深麻酔時間率の値は, Epi濃度の変化によりほとんど影響されないことが示された。
  • 駒田 格知
    1980 年 22 巻 2 号 p. 289-299
    発行日: 1980年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    キューリウオ科魚類の口腔には多数の歯がみられ, その分布状況は頭蓋骨の形態等と共に分類形質の一つとして認められている。しかし, これらの形質が成長に伴ってどのように変化するかについては不明な点が多い。本研究では, 本科の一種ワカサギの若魚・成魚期における口部形態や歯系について調査し, 成長に伴う変化を検討した。
    頭部各部, 頭長・眼径・上顎骨長・歯骨長・咽舌骨長は, 体長40~60mmの期間はゆるやかに増加するが, 体長約60mmの時を転換期としてそれ以後はかなり急激に増加する。口部形態は, 体長約45mmの時期には幅が狭く奥行きの深い若魚型を呈し, 体長約60mmの時期には, 前期と奥行きは変らないが幅は著るしく増大する。そして体長約82mmに達すると口部の奥行きが著るしく増大して大型化し成魚型を呈するようになる。さらに口腔内歯系は, 体長40~90mmの期間, 歯長は伸長するが基本的には変化しない。これら口部形態の変化や歯系の発達とワカサギの食性等の生活史との間に深い関連性があると思われた。
  • 癌原性物質の短期スクリーニング法としての検討
    井出 文雄
    1980 年 22 巻 2 号 p. 300-319
    発行日: 1980年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    遺伝物質を保護するDNA修復機構の減弱ないし欠損は突然変異や癌化と深い関連性をもつことが知られ, このDNA修復機構のうちで最も重要な機構である除去修復を表わす不定期DNA合成 (UDS) の誘起能と癌原性との間には高い相関性がある。このことからUDSの検討は癌化の機構の解明に意義がある。本研究では器官培養を用いたオートラジオグラフィー法によるUDSの検索を行った結果, 1) 全身の諸臓器のうち気管粘膜がUDSの検出に最も有効で, 2) 気管粘膜での40種の化学物質の検定により, 本実験法が定量的でかつ癌原性物質の臓器特異性が明らかであることから, 環境発癌物質の短期スクリーニング法として有効であり, 3) 口腔組織 (粘膜, 唾液腺, 歯胚および顎骨) でのUDSの検索成績から, 口腔腫瘍のin vitro発癌実験法として器官培養法が適切なものであることが示唆された。
  • 松本 章, 小林 恵子, 田中 波香, 保坂 照美, 姥山 良雄, 山田 庄司
    1980 年 22 巻 2 号 p. 320-325
    発行日: 1980年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    炭酸ストロンチウム投与により大腿骨に発生した異常骨と “既成の骨” におけるCa, P, Srなどの無機成分ならびに総ヘキソサミン, ハイドロキシプロリンなどの有機成分の含有量を測定した。その結果, Sr投与ラットの大腿骨の “既成の骨” においては, Ca, Pの骨中含有率は減少を示した。異常骨中におけるそれらの成分の含有率は著しく低いものであった。またSr含有率は “既成の骨” で2.73±20%, 異常骨で0.33±0.06%であった。総ヘキソサミン, ハイドロキシプロリン含有量はSr投与ラットの大腿骨の “既成の骨” において増加を示した。また異常骨中においては “既成の骨” における場合より更に著しく増加した。以上の結果からSr投与ラットの大腿骨に発生した異常骨はCa, Pなど無機成分が著しく少ない, 多糖類, コラーゲンなどの有機成分の著しく多い組織であることが判明した。
  • 口腔内粘膜の等価回路について
    半場 道子, 鶴岡 正吉
    1980 年 22 巻 2 号 p. 326-330
    発行日: 1980年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    口腔粘膜が正常と認められた成人 (男23~45歳7名, 女31~41歳3名) の口腔粘膜の電気的等価回路を定めた。実験は, 臼田が人体皮膚の等価回路を定める際に使用したものと同様の方法によった。得られた結果は,(1) 抵抗 (R2) と容量 (C) の並列回路に抵抗 (R1) が直列に連結された回路であった。(2) 同一被検者について, 口腔内6個所の粘膜のR1, R2, Cの値を毎日2度8日間測定 (各部位について5回繰り返し実験を行なって1度の測定値とした) したが, 各部位についての値は日および測定時刻による変動は少なく, それぞれの被検者については大体一定であった。(3) 10人の被検者の口腔粘膜について, R1, R2, Cの値はそれぞれの部位において大体一定の傾向がみられ, 年齢, 性別による差異は殆んどみとめられなかった。(4) 全被検者を通して, 硬口蓋粘膜のR1, R2, Cの値が他の部位のそれらと相当異なっていた。
  • 第IV報各種重金属化合物抵抗性細胞のコロニー形成能について
    兼松 宣武, 小林 明夫, 幡中 大吉, 川原 春幸, 黒田 行昭
    1980 年 22 巻 2 号 p. 331-346
    発行日: 1980年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    金属ならびに金属化合物の細胞におよぼす影響を検索することは, 生体材料としての金属および環境汚染原としての金属化合物の作用を知るうえで重要である。われわれは強度の細胞毒性を示すAg#, Cu#, Cd#, Zn#を選び, これらの重金属イオンの細胞毒性発現機構の解明の一助として, 各種重金属イオン抵抗性細胞の採取を試みた。結果はAg#, Cd#などのイオンに対して細胞は著明に抵抗性を獲得したが, Cu#およびZn#など生体必須の金属イオンには, 細胞の抵抗性はほとんど獲得されなかった。またAg#抵抗性細胞はCd#に対しても抵抗性を示し, 逆にCd#抵抗性細胞はAg#に対しても同様抵抗性を示し, 交差耐性の現象がみられた。なお, Cu#, Zn#に長期間さらされた細胞はAg#, Cd#に対しても抵抗性を獲得している。しかしながら, その逆はみられなかった。このように細胞はAg#, Cd#などの汚染金属に対する抵抗性を獲得することが判明した。
  • 力石 秀実
    1980 年 22 巻 2 号 p. 347-354
    発行日: 1980年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    Streptococcus mutansの102株, GS5株をクロラムフェニコール処理によりその増殖を同調させ, 複製開始後に連続的に菌液を採取しニトロソグアニジン処理を行った。ストレプトマイシン (Str), バシトラシン (Bac), リファンピシン (Rif) の耐性変異, 蔗糖加寒天平板上でのコロニー形態変異の頻度を時間を追って調べた結果, 両株ともいずれの変異でも一定時間に変異率の増加が観察され, その位置はそれぞれのマーカーで異なっていた。しかも, このような変異率のピークはダブリング・タイムとほぼ同じ50分後にもう一度出現した。コロニー形態変異では最初の50分間の培養で2つの変異率のピーク (PlsA, PlsB) が観察され, それぞれ50分後に変異率の増加が起こった。このコロニー形態変異株の合成グルカン量は両株とも1NNaOH可溶性・菌体固着性画分が顕著に増加していた。この実験の結果, この同調培養でのニトロソグアニジン変異誘発による遺伝子解析は, S.mutansで十分応用可能であることを示し, また, S. mutansの染色体上ではRif, Str, Bac, PlsA, PlsBの順にそれぞれのマーカーが複製を行っていることが推測された。
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