歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
ヒグマとツキノワグマにおける前臼歯の欠如とクマ科の歯数減少傾向
米田 政明大泰司 紀之
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1981 年 23 巻 1 号 p. 134-140

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抄録

ヒグマでは中間位の前臼歯に高い欠如率が見られるが, ツキノワグマでは欠如率は低い。この2種の前臼歯欠如率を比較し, クマ科における歯数減少傾向問題について検討を行なった。材料として北海道産ヒグマ151例, 本州産ツキノワグマ36例を用いた。前臼歯の欠如は肉眼的観察によったが, 存在する場合をさらに正常, 破折, 歯槽骨による包埋に分けた。また, 犬歯歯根セメント層板により年齢査定を行ない, 前臼歯の欠如率, 破折・包埋率の加齢変化を検討した。その結果, 前臼歯の先天的欠如率はツキノワグマにくらべヒグマが有意に高いこと, 破折・包埋前臼歯の出現率がツキノワグマ, ヒグマとも加齢に伴って増加することが明らかになった。両種の前臼歯欠如率の差は, クマ科の系統・進化の方向を示しているものと考えられた。

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