歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
23 巻, 1 号
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  • 第28報紫根エキスを含有する口内炎治療薬の口腔粘膜に対する毒性
    田村 豊幸, 藤井 彰, 小林 寿美, 岡安 正子, 茂木 真珠美, 吉沢 道彦
    1981 年23 巻1 号 p. 1-8
    発行日: 1981/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    紫根エキスを含有する口内炎治療薬 (TSO軟膏) の口腔粘膜に対する障害性を検討する目的で, ラット下顎前歯部唇側歯肉およびハムスター頬袋粘膜にTSO軟膏を塗布し, 急性 (1, 3, 6時間連続塗布) ならびに亜急性 (1日2回, 4週間継続塗布) 毒性試験を行った。
    急性毒性試験においては, ラット, ハムスターともに対照群 (生理食塩液塗布群, まったくの無処置群) と比較し, 肉眼的および病理組織学的に差は認められなかった。亜急性毒性試験において, ラット, ハムスターともに体重変化, 一般行動に対照群 (生理食塩液塗布群, 無処置群) との間に差は認められず, また局所における肉眼的所見および病理組織学的所見でも, 差異は認められなかった。
    以上の結果より, TSO軟膏を口腔粘膜に適用 (塗布) した場合, その組織障害性は低いものと推測される。
  • 森 陵一, 後藤 周二, 滝口 励司
    1981 年23 巻1 号 p. 9-15
    発行日: 1981/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    胎生期後半の胎児の胸骨の軟骨性原基に形成されている化骨核を用いて, 軟骨内骨化に伴って形成された石灰化軟骨基質と, 骨基質との微細構造を, 主として走査電子顕微鏡によって検索し, 次のような結果を得た。
    化骨核の最表層の肥大層の軟骨小腔壁には, 表面が顆粒状のきわめて多数の石灰化球が形成されている。肥大層の縦走基質は索状で石灰化している。骨化層の骨梁の中心部を形成している石灰化軟骨基質は, 大部分が密な石灰化基質で形成されているが, 局所的には, 表面がきわめて多数の屈曲している膠原原線維の小突起で形成されている石灰化球が不完全に癒合しているのが認められる。石灰化球の間隙は膠原原線維で構成されている。骨化層の石灰化軟骨基質の石灰化度はきわめて高く, 表層に付加されている骨基質は, 石灰化軟骨基質よりも石灰化度がきわめて低い。骨基質に散在している骨小腔壁は, 密な膠原原線維網で形成されている。
  • 精製ならびに性質について
    平松 正彦, 畠山 桂子, 南 直臣
    1981 年23 巻1 号 p. 16-25
    発行日: 1981/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    先にわれわれは, マウス顎下腺のesteroprotease isozymeが系統間で著しく異なることを報告した。今回は2系統の近交系マウスの顎下腺からesteroprotease isozymeの精製を試みた。ゲルろ過と等電点分画法で精製したBALB/cAのisozyme III, IV, IX (等電点はそれぞれ5.6, 5.9, 9.8), DBA/2Nのisozyme VIとVIII (等電点7.6と8.8) は, ゲル電気泳動で単一のタンパクbandとして認められた。これらのisozymeは熱に対して比較的安定であった。分子量はいずれも約28, 000であった。各isozymeは合成基質に対する水解能がかなり異なったが, アミノ酸組成はよく類似していた。
  • 武田 泰典, 鈴木 鍾美, 尾関 雅彦, 石川 梧朗, 小守 昭
    1981 年23 巻1 号 p. 26-42
    発行日: 1981/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    剖検例100例より得られた口唇腺を用いてoncocyteの出現様式, 性別・年齢別出現状態, 組織学的構成部位別にみた出現頻度と腺体内での拡がり, 萎縮性変化との関連等について検索した。Oncocyteは全体の85%にみられ, 女性にやや高頻度であった。またoncocyteの出現頻度は加齢とともに増加していたが, 増生性変化を示唆する所見は50~70歳代のみにみられた。組織学的構成部位別出現頻度は小葉間導管, 小葉内導管, 主導管に高く, 介在部導管, 腺房部での頻度は低かった。腺体の萎縮性変化, 放射線照射, リンパ性細胞浸潤, 主病変などとoncocyte出現頻度との関連は認められなかった。これらの所見からoncocyteは加齢とは関連があるものの単なる退行性変化とは考え難かった、また生検例より得られた電顕所見ならびに諸家の報告と比較し考察を加えるとともに, oncocyteよりなる腫瘍性病変についても検討した。
  • 栗栖 浩二郎, 佐々木 茂, 大崎 康吉, 島崎 恵子
    1981 年23 巻1 号 p. 43-49
    発行日: 1981/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    電顕オートラジオグラフィの統計的分析法として最近報告されたhypothetical grain analysisをマウス胎仔口蓋突起の8H-prolineの取込みに関する研究に応用し, この方法の有用性を検討した。得られた結果は, 以下の通りである。
    (1) source compartment5項目, grain compartment7項目を用いて分析したとこ, hypothetical grainの分布とreal grainの分布の適合性を十分に満足せしめるsource densityの推定値が得られた。
    (2) 得られたsource densityの推定値は, 従来にく用いられたgrain densityの値と類似した傾向を示したが, 前者の方が各compartment間の差が大きく, 大小関係の比較検討が, 後者にり厳密に行い得ることがわかった。
  • 水野 純
    1981 年23 巻1 号 p. 50-63
    発行日: 1981/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    口腔レンサ球菌における両親媒性抗原の存否を受身赤血球凝集反応により調べた。リポタイコ酸 (LTA) はStreptococcus mutans, S. salivarius, S. milleriの全供試株に認められたが, S. sanguis, S. mitiorでは82株中28株に検出できなかった。LTAを欠くこれらの株は, スクロースからのグルカン生成能を除き, 他の生物学的性状が酷似していた。またLTA陽性株と陰性株とでは, フェノール・水抽出抗原のゲル炉過パターンに明らかな差異が認められた。
    LTA陽性のS. mutansの全菌免疫血清の多くのロットに, LTA/PGPに対する抗体が認められた。S. sanguisあるいはS. mitiorのLTA陰性株の全菌免疫血清は, LTA陰性のいくつかの株のフェノール・水抽出抗原で感作した赤血球を凝集し, これらの株にLTAとは免疫学的に異なる両親媒性抗原が存在することが強く示唆された. またLTA陰性菌免疫血清とのゲル内沈降反応により, LTAを欠く口腔レンサ球菌は少なくとも3群に分類できることが明らかになった.
  • 金田一 孝二, 吉岡 正彦
    1981 年23 巻1 号 p. 64-71
    発行日: 1981/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    胎生17日から生後0日までの, マウス下顎第1臼歯歯胚上皮部を透過型電子顕微鏡を主体にして, 走査型電子顕微鏡, 光学顕微鏡を用いて観察し, 次のような結果を得た。1) 胎生17日ごろ外エナメル上皮に血管が近接し, 血管から遊出した赤血球が, エナメル髄内の星状細胞間に散在する。2) 外エナメル上皮に近接した血管は一種の洞様毛細血管と考えられる。3) 胎生18日ごろ, 歯胚上皮と歯堤との移行部付近より血管がエナメル髄内に侵入する。侵入部位における外エナメル上皮と血管の基底膜は, 不連続で不明瞭である。4) エナメル髄内には, 散在する遊離赤血球を貧食する, 二種類の細胞が認められる。1つは遊離の大食細胞で, 他の1つはエナメル髄の星状細胞である。すなわち, 発生途上の歯胚上皮細胞は食機能を有する。
  • 第1編マグネシウム欠乏飼料中のカルシウム増減による変化
    大浦 重光
    1981 年23 巻1 号 p. 72-93
    発行日: 1981/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    マグネシウム (以下Mg) 欠乏ラットで, カルシウム (以下Ca) 量の増減が歯牙, 歯周組織骨組織にどのような影響を及すかを組織化学的に検索した。
    検討した酵素は, アルカリ性フォスファターゼ (以下ALP), 酸性フォスファターゼ (以下ACP) および脱水素酵素である。
    その結果, 歯牙, 歯周組織では, ALPの活性は対照群より実験群, 即ちMg-Ca無投与群, Mg無投与でCa多量投与群の方が活性は弱いが, ACPでは4週目で, 対照群, 実験群共に同様の強い活性を示した。脱水素酵素では, 実験群のイソクエン酸, 乳酸コハク酸脱水素酵素で活性は弱かった。膝関節脛骨頭では, ALPの実験群の活性は弱く, ACPでは対照群, Mg-Ca無投与群の活性は強く, 脱水素酵素では, Caを多量投与したものほど活性は弱かった。
    従って, 組織化学的にMg, Caが硬組織形成過程に重要な役割を果していることがわかった。
  • 半場 道子, 半場 哲
    1981 年23 巻1 号 p. 94-100
    発行日: 1981/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    専門医によって正常と診断された心電図に統計的処理を加えて整理し, その数値的定義を与えると共に, 計算機による計量診断の特徴抽出過程に新しい方法を見出すことを目的とする。実験では, [1] 心電波形の1周期を一つの連続函数と考え, それを階段函数で近似したものを閉区間 [0, 1] に正規化し, 100次元のベクトルを得る。正常な第II誘導心電図から得られた69個のベクトルxi (i=1, …, 69) より, 標本平均ベクトルx= (x1, …, x100) および標本標準偏差σ= (σ1, …, σ100) を計算した。また, [2] ベクトルの各成分xiは, 平均値xiのまわりに正規分布することを検定により確かめた。[3] 心筋梗塞患者の心電図および別に新しく集めた正常心電図から得たベクトルを用いて, xからの距離, および偏倚度を計算した。正常心電図では距離が30前後で, 100次元のベクトル成分のうち, 偏倚度0のものがほとんどであるのに対し, 心筋梗塞の場合はxからの距離も大きく, 成分の偏倚度も大きなものがかなりあった。
  • 1. 超微細構造について
    一條 尚, 山下 靖雄, 赤堀 宏
    1981 年23 巻1 号 p. 101-114
    発行日: 1981/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    ヒトの健全な永久歯エナメル質を材料として, 形態学的立場から, 正常なエナメル質結晶の構造上の特徴や性格を検索するために, エナメル質を未脱灰のまま超薄切片を作成し, エナメル質結晶の横断面について, エナメル質の結晶を構成する原子配列に関し, 透過電子顕微鏡を用いてそれらの原子あるいは原子群を直接観察し, さらに原子配列とそれによって生じるstdationとの関連について観察を行った.
  • 古賀 隆則
    1981 年23 巻1 号 p. 115-133
    発行日: 1981/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    glucocorticoid (GC) による口蓋裂の誘発において, GC-receptorの役割を明らかにするために8H-triamcinolone acetonide (TA) を用いて, 光学顕微鏡および電子顕微鏡オートラジオグラフィーによる検討を行った。
    TAを直接羊膜腔内に注入し, TAの直接作用により, 口蓋裂が誘発されることを確認した。GC-receptorは1% D-catechi織を含むKamovsky固定液によって効果的に固定されることがわかった。3H-TAの羊膜腔内注入法による光学顕微鏡オートラジオグラフィーの結果, GCによって効果的に口蓋裂が誘発される時期ほど, 口蓋突起内のGC-receptor量が多い傾向が認められた。組織培養法による光学顕微鏡オートラジオグラフィーの結果, 口蓋突起内のGC-receptorは鼻腔側に比べ口腔側に多い傾向が認められ, 電子顕微鏡オートラジオグラフィーの結果は, GC-receptorの細胞内移動に関する仮説にそうものであった。
  • 米田 政明, 大泰司 紀之
    1981 年23 巻1 号 p. 134-140
    発行日: 1981/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    ヒグマでは中間位の前臼歯に高い欠如率が見られるが, ツキノワグマでは欠如率は低い。この2種の前臼歯欠如率を比較し, クマ科における歯数減少傾向問題について検討を行なった。材料として北海道産ヒグマ151例, 本州産ツキノワグマ36例を用いた。前臼歯の欠如は肉眼的観察によったが, 存在する場合をさらに正常, 破折, 歯槽骨による包埋に分けた。また, 犬歯歯根セメント層板により年齢査定を行ない, 前臼歯の欠如率, 破折・包埋率の加齢変化を検討した。その結果, 前臼歯の先天的欠如率はツキノワグマにくらべヒグマが有意に高いこと, 破折・包埋前臼歯の出現率がツキノワグマ, ヒグマとも加齢に伴って増加することが明らかになった。両種の前臼歯欠如率の差は, クマ科の系統・進化の方向を示しているものと考えられた。
  • 第2報 アカネズミ下顎大臼歯の大きさ
    宮尾 嶽雄, 酒井 英一, 西沢 寿晃
    1981 年23 巻1 号 p. 141-146
    発行日: 1981/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    平均約8, 400年前の早期縄文時代産 (長野県南佐久郡北相木村栃原岩蔭遺跡) のアカネズミと, ほぼ同一地域産 (八ケ岳低山帯) の現生アカネズミで, 下顎大臼歯の大きさを比較した。歯冠近遠心径, 頬舌径およびRectangleとも, 現生アカネズミにおいて全般的に小さい。そして, 大きさの差異は第1大臼歯で最も小さく, 第3大臼歯で最も著しかった。また, 第1大臼歯に対する第3大臼歯の退化傾向が, 現生において強い。
    早期縄文時代産アカネズミが, 大型の大臼歯をもっていたことは, 当時の寒冷気候条件に対する適応的変異であったと考えられる。
  • 江川 薫
    1981 年23 巻1 号 p. 147-153
    発行日: 1981/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    成長期のWistar系ラットの増齢に伴う骨口蓋表面の微細構造上の変化について, 走査電子顕微鏡で観察し, 次のような結果を得た。1) 生後1~4週齢のラットの骨口蓋表面は, 直径30~100μの多数の不正円形の血管孔が面全体に開口しており, 血管孔の内壁と周縁部の基質には, 窩底の浅い多数の骨小腔が散在している。2) 次いで血管孔の周縁部の基質が著しく新生し, 基質が血管孔を周囲からおおうような様相を呈するようになる。3) さらに, 表層にきわめて著しい基質の新生がみられ, 血管孔がいくぶん小型化し, 血管孔の周縁部の基質の中央部は稜線状の高まりを呈するようになる。4) 生後7週齢の骨口蓋表面は, 直径50μ前後と直径20μ前後のほぼ円形の血管孔が混在していて, 内壁は輪状に走向している膠原線維束で形成されており, 骨小腔はほとんど認められない。5) 生後8週齢以降のものは, 血管孔がさらに狭窄され, 生後15週齢のものでは, 血管孔はほぼ閉鎖される
  • 日浦 透, 桂 茂
    1981 年23 巻1 号 p. 154-158
    発行日: 1981/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    ラット上唾液核より発する唾液分泌神経の脳幹に於ける経路をFink-Heimer法を用いて検索した。上唾液核を発した神経線維は直ちに外側方に進み, 外側網様体, 三叉神経脊髄路核, 三叉神経脊髄路, 台形体を通過して脳を去ることが見出された。この結果は電気生理学的方法により猿や猫で報告されている, 唾液分泌神経が顔面神経核から発し, まず内背方に向い, 膝を形成した後に反転して脳を去ると言う報告や, ラットでcholinesteraseの組織化学的染色所見から得られている結果とは一致しなかった。
  • 鈴木 貫太郎, 藤原 忠夫, 桑田 文幸
    1981 年23 巻1 号 p. 159-170
    発行日: 1981/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    ウサギ歯肉解糖系に関し解糖・糖新生両反応の酵素活性パターンを明らかにするため, 15種の各酵素についてその正・逆両反応に対する活性測定条件を検討し定めた。TEA, Hepes, Tris bufferでの各酵素活性値の検討から, bufferの違いによる酵素活性パターンの相異が明らかとなった。pH 7.4でのウサギ歯肉酵素活性パターンから, 解糖反応でhexokinaseと6-phosphofructokinaseが調節酵素と推察され, またtriosephosphate isomeraseとlactate dehydrogenase活性が正・逆反応で約10倍異なった。一方, 糖新生にのみ関与する酵素の活性は認められず, ウサギ歯肉における糖新生は存在しないものと考えられた。pH変化に伴う酵素活性パターンの変動は, アルカリ側におけるfructose 1, 6-bisphosphateの蓄積と解糖反応のover allな上昇, また酸性側におけるglucose 6-phosphateの蓄積と解糖反応の低下を示唆するものであった。
  • 小田島 美紀代
    1981 年23 巻1 号 p. 171-185
    発行日: 1981/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    草食性エゾヤチネズミ顎下腺の微細構造と各構成部位の機能的特徴を知るため, 電顕的, 組織細胞化学的に検索し, 更に顆粒管における雌雄間の性差の存否を知るため, 顕微鏡的測定法により検索した。顎下腺は, 終末部, 介在部, 顆粒管, 線条部と排出管により構成され, 終末部顆粒は微量の中性多糖類とglycoproteinを含み, 特殊漿液性 (special serous) で, 介在部顆粒は中性多糖類を持つ。顆粒管顆粒は蛋白質と中性粘液多糖類を持ち, pronase消化後顆粒はその電子密度を落したが, amylaseとProtease活性を持たなかった。PA-TSC-SP法では, 終末部のみにglycoproteinの存在が認められた。同法で, 過沃素酸酸化温度と時間を一部変えた結果, 介在部と顆粒管顆粒とにglycoproteinの存在を認めた。線条部の明調細胞は, 主として分泌に, 暗調細胞は主として物質の吸収に関与しているのではないかと推測された。顆粒管直径の計測では, 雌雄間に有意差が認められた。
  • 小堀 敏子
    1981 年23 巻1 号 p. 186-196
    発行日: 1981/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    歯科領域における侵襲が自律系に影響を及ぼす際に重要と考えられる三叉神経-自律神経反射について, ラットとネコを用いて電気生理学的に検討した。三叉神経 (眼窩下神経) 刺激により, 頸部迷走神経幹, 反回神経, および胃, 肝, 腎に分布している神経に反射電位が導出できた。また上喉頭神経-反回神経反射に対して三叉神経刺激が促通的に働いていること, および三叉神経-自律神経反射の求心性線維にはAδ線維が関与していることがわかった。さらに, 延髄迷走神経核に三叉神経刺激によってevoked responseがみられたことから, 三叉神経から何らかの経路を経て迷走神経核に連絡があることが推察できた。
    以上のことから, 三叉神経に加えられた侵襲は, 少くともその一部は, 迷走神経核を介して全身諸臓器に影響を及ぼしていると考えられる。
  • 中村 治雄, 本多 佐保, 倉橋 昌司, 猪股 孝四郎
    1981 年23 巻1 号 p. 197-202
    発行日: 1981/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    唾液腺のコレステロール生合成は種々の条件で変化をうける。コレステロール生合成の段階において, メバロン酸を生成するHMG-CoA reductaseが合成系全体の律速段階となっているので, マウスを用い, う蝕形成食投与, 飢餓, 日内リズム (変動), 無菌動物などについて測定を行った。顎下腺のHMG-CoAreductaseはう蝕形成食, 飢餓では減少し, 無菌動物, および夜間では増加した。これらの結果はコレステロール生合成の変化と一致し, 生合成の増加時にはHMG-CoA reductaseは増し, 生合成の低下では減少していたことから, 顎下腺のコレステロール生合成においてもこの酵素によって調節されていることが明らかになった。
  • 工藤 章修
    1981 年23 巻1 号 p. 203-210
    発行日: 1981/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    家兎歯根膜より得たミクロゾーム分画についてcaseinを基質としてプロテアーゼ活性を測定した。膜結合性中性endopeptidaseの存在する事が見出され, 次のような性質を示した。
    1. 活性発現にSH試薬を要求し, その至適cysteine濃度は約10mM, K0.5は約2mMであった。
    2. caseinを非常に限定的に加水分解し, その加水分解産生物は分子量1, 000から4, 000程度のペプチドであった。
    3. 至適pHは約7.3であった。
    4. EDTAにより可逆的に失活し, Ki0.5は約0.5mMであり, Mg2+で80%活性化された。
    5. plasma membrane由来と考えられ, 0.1% sodium cholate処理では可溶化されず膜に強固に結合していた。
  • 松本 章, 小林 恵子, 田中 波香
    1981 年23 巻1 号 p. 211-219
    発行日: 1981/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    炭酸ストロンチウム投与により発生したラットの石灰化不全象牙質および “異常歯槽骨” について組織学的並びに組織化学的に検索した。切歯にみられる石灰化不全象牙質はヘマトキシリン, TB,(pH2.5), AB.(pH1.0) に対して殆んど反応を示さず, PAS反応並びにVan Giesonに対して強い反応を示した。またエオジンにもやや強く反応した。“異常歯槽骨” はヘマトキシリン, T. B., A. B. などの染色に対して殆んど反応せず, エオジン, PAS反応, Van Gieson染色に対して反応を示した。石灰化不全象牙質と “異常歯槽骨” は硬組織石灰化過程における有機基質形成に関与している多糖類並びにコラーゲン代謝が障害され発生したことが示唆された。
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