歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
家兎歯根膜のアルカリ性フォスファターゼに関する研究
岩本 英厚
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1981 年 23 巻 3 号 p. 518-526

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抄録

矯正力による歯の移動時, 化骨形成に重要な役割を演ずると考えられている歯根膜のアルカリ性フォスファターゼ (APase) の諸性質を明らかにするため, ウサギを用いて歯根膜の採取, 調製, 部分精製を行い, そのいくつかの酵素学的性質について検討した。APase活性は, P-Nitrophenylphosphateを基質としpH9.5で測定した。
1.ウサギ歯根膜のmicrosome分画上清をButhanol処理, EthanoI処理後, Ion exchange cohmn chmmatographyを行った。その結果, カラムクロマト的に異なる3種の精製APase標品が得られた。これらのうち2つの標品はmicrosome分画上清に対し蛋白当りの活性は10倍以上に高められた。これらのAPase標品はすべてピロリン酸を分解し, さらにATPを分解するものとしないものに区別された。
2.粗試料 (microsome分画上清) 及び精製試料は共にEDTA処理により可逆的な失活と, Zn2+添加によりその賦活がみられた。又Zn2+やピロリン酸により強く阻害され, その阻害様相は二相性を示した。

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