1983 年 25 巻 4 号 p. 1044-1049
マウス腹腔マクロファージによるラット歯槽骨の溶解性に関して, Actinomyces viscosus ATCC15987の超音波破壊上清の影響を検討することを目的とした。マウス腹腔細胞 (PEC) は, 10%proteose peptoneで誘発した。PEC中のマクロファージは, 1時間後および24時間後に, マルチウェル中の培養液を洗浄する方法によって分離した。次に, Ham's培地 (5%に牛胎児血清およびHEPES添加) に加えたA.viscosusの超音波破壊上清および歯槽骨粉末をマクロファージが培養してあるwellに加えた。対照として, A.viscosusの超音波破壊上清のみおよび骨粉末のみをwellに加えた。well中の付着細胞数は, 位相差顕微鏡中のマイクロメーターによって算定した。歯槽骨からのCa溶出は, 誘導結合プラズマ発光分光分析によって測定した。A.viscosusの菌体破壊上清は, マクロファージの歯槽骨粉末に対する溶解性を増強すると共に, 培養系のglucose消費も促進した。このことは, 本実験系においてA.viscosus菌体成分のマクロファージ細胞数におよぼす影響にもとずくものと思われる。