歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
日本人顎骨の古病理学的研究
骨欠損を伴う限局性病変について
永田 睦仙波 伊知郎大家 清浦郷 篤史井上 直彦
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1983 年 25 巻 4 号 p. 857-866

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抄録

縄文時代から江戸時代に至る日本人顎骨105例190顎を用い, 肉眼的に骨欠損を有する限局性骨病変の古病理学的検索を行った。
病変は17例25部位に観察され, なかでも根尖部病変 (歯根嚢胞, 歯根肉芽腫, 根尖性歯周炎) が16例22部位で最も多く, 原始性嚢胞, 特発性骨空洞, 腐骨を伴う骨髄炎が各1例であった。根尖部病変では, 縄文時代2例において, 歯冠部の著明な咬耗によって生じたと思われる症例が存在し, 当時における古代人の苛酷な生活環境を反映しているものと思われた。
原始性嚢胞, 特発性骨空洞, および腐骨を伴う下顎骨骨髄炎は, 本邦における最古の古病理学的報告例であろうと思われる。

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