歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
局所麻酔薬の研究 (第4報)
4. フェニルピペリジンによる中性エポキシアルカン開裂生成物の局所麻酔作用
五十嵐 治義佐藤 陽子浜田 節男川崎 徹
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1983 年 25 巻 4 号 p. 867-874

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抄録

この研究の目的は, 4-phenyl piperidine誘導体でpiperidine環の4位に3級炭素を有する生物学的活性物質の開発である。
先に4・phenyl-N-(3'-dialkylamino-2'-hydmxy propyl) piperidine誘導体 (I) は強い浸潤麻酔作用と強い抗炎症作用を示したことを報告した。
今回は表面麻酔作用において活性物質の開発を目的として, 親油性のmethyl, phenylさらにphenoxy methyl基を3'-dialkylamino methyl基の代りに (I) に置換したaminoalkanol誘導体 (II) と (II) の酸化物であるamino alkanone誘導体 (III) を合成した。
局所麻酔作用の実験結果はつぎのとおりである。
(1) IIa, b IIIa, cは強い浸潤麻酔作用を示し, 浸潤麻酔作用の持続時間, 程度および麻酔発現と消失において塩酸リドカインよりすぐれていた。
さらにIIb, IIIaには, 局所刺激作用とnecrosisおよびrednessは観察されないので, 浸潤麻酔薬として非常に興味深い化合物であると思われる。
(2) IIa, IIIb, cは表面麻酔作用において塩酸コカインおよび (I) よりすぐれた活性を示した。しかし, わずかな局所刺激作用とnecrosisを示した。

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