歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
Streptococcus mutansの産生する溶菌酵素に関する研究
II溶菌酵素の特性と酵素産生に及ぼす諸因
馬場 久衛鎌口 有秀金森 啓子
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1983 年 25 巻 4 号 p. 947-955

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抄録

幼児の歯垢より分離したStr.mutans AL 7-1株の培養上澄より粗酵素を抽出し, その特性と酵素産生に及ぼす諸因子について検討した。本粗酵素はStr.sanguis ATCC 10558株ならびにStr.mutans E-49株の加熱菌体を溶解し溶菌酵素作用を有することが明らかとなった。本溶菌酵素の至適pHは6.5, 至適温度は42℃, pH安定域は弱酸性から中性で, 熱安定性は45℃ まで比較的安定であった。本溶菌酵素標品中のlysozyme活性とcaseinase活性はともに微弱であった。また, Ca2+, Mn2+, Mg2+およびPb2+の添加により賦活されるが, Cu2+やHg2+の添加によりほぼ完全に活性は阻害された。溶菌酵素産生に用いたTM培地のinitial pHを7.5-8.0に調製し, 糖としてsucroseを0.2%に加え, さらにStr.mutans E-49株の菌体を湿重量で0.1%に添加した培地を用いて, 24時間嫌気培養を行なったときに最大の酵素産生量が得られることが判明した。

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