歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
歯肉の逆伝導性血管拡張に関する研究
レーザードプラー血流計による検討
栗和田 しづ子
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1989 年 31 巻 5 号 p. 564-576

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抄録
ネコ下歯槽神経の末梢性電気刺激によって生じる歯肉血流の変化についてレーザードプラー血流計を用いて調べた。グアネチジン前投与後, 下歯槽神経の末梢性電気刺激により, 血圧変動を伴うことなく神経支配領域の歯肉血流の増加が観察された。歯肉血流の増加は1. 刺激強度 (20V-80V), 刺激時間 (0.2sec-5sec) に比例した。2. 10分間隔の10回 (100分間) の電気刺激 (2ms, 80V, 5Hz, 6sec) に良好な再現性を示した。3. 歯肉血流の増加はアトロピン, プロプラノロール, ヘキサメトニウムおよびシメチジンの投与で影響を受けず, (D-Pro2, D-Trp7, 9) -サブスタンスP, トリペレナミンおよびメチセルジドの投与で抑制された。以上の結果から, 感覚神経の逆伝導性刺激により歯肉にサブスタンスP, ヒスタミンおよびセロトニン等が関与する血管拡張が生じることが示唆された。
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