歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
A rapid quantitative analysis of intracellular nucleotides in osteoblasts using high-performance liquid chromatography
Sadayoshi OgataAkitoshi SuzukiTomoyuki Kawase
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1995 年 37 巻 1 号 p. 1-8

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抄録
高速液体クロマトグラフィー (HPLC) を利用した簡便かつ迅速な細胞内ヌクレオチドの一括定量分析法を開発した。C8カラムを用い, 0.2M第一リン酸アンモニウム (pH5) を移動相とすることにより, 9種類のヌクレオチド (GTP, GDP, GMP, cGMP, ATP, ADP, AMP, cAMP, NADP) を40分以内に分離・分析できた。この方法では, 5pmole以上のcAMPを再現性よく定量することに成功した。さらに良好な分析を目指して, アセトニトリルなどの有機溶媒を加えたグラジエント溶出を試みたが特筆すべき改善は見られなかった。次に, この方法を骨芽細胞様細胞株 (MOB3-4-F2) の細胞内ヌクレオチド分析に応用し, 再現性のあるデータを得た。すなわち, フツ化ナトリウムはcAMPとcGMPレベルを上昇させたが, ATP/ADP比を低下させた。一方, ノルアドレナリンおよびプロスタグランジンE1は一過性にcAMPレベルとATP/ADP比を上昇させた。以上の結果より, ここで紹介したHPLCによるヌクレオチド分析法は, 生物試料に応用できることが明らかになった。また, この方法は細胞内ヌクレオチド代謝およびエネルギー状態の研究において有力な手段になりうるものと思われる。
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© Japanese Association for Oral Biology
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