歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
Initial characterization and bone resorbing factors in primary cultured cells derived from human oral tissues
Mayumi SaitoShigeru SaitoYasushi NakamuraTomio MorohashiShoji YamadaYoshinobu Shibasaki
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1998 年 40 巻 2 号 p. 127-136

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抄録

1人の成人外科矯正患者より同意を得て採取した下顎皮質骨由来の骨細胞, 下顎第1小臼歯由来の歯根膜細胞ならびに上顎臼後結節由来の歯肉細胞をそれぞれ培養した. 各細胞の増殖, 細胞内アルカリフォスファターゼ (ALPase) 活性, 各細胞が産生するプロスタグランディンE2 (PGE2), さらには骨吸収活性を同じ継代数で比較検討した. その結果, すべての細胞は経時的に有意な増殖を示し, なかでも歯根膜細胞が他の2細胞よりも強い増殖を示した. 細胞内ALPase活性も増殖能同様, 経時的に有意な増加を示し, その大きさは骨細胞>歯根膜細胞>歯肉細胞の順であった. また各細胞の増殖, PGE2量, 骨吸収活性を各継代数ごとに比較した結果, 継代4, 5代目の細胞がすべての測定項目で継代6, 7代目の細胞に比べ強い活性を有していた. さらにインドメタシンの添加は各細胞の産生するPGE2を完全に阻害するが, 試薬無添加の歯根膜細胞の培養上清が有する骨吸収活性はインドメタシンで前処理しても部分的な抑制にとどまった. 以上より, 歯根膜細胞の培養上清中に存在する骨吸収促進因子はPGE2だけでないことが示された.

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© Japanese Association for Oral Biology
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