2009 年 38 巻 p. 151-156
外斜視患者に対して、斜視角を中和するプリズム装用による両眼視の変化が重心動揺と重心位置に及ぼす影響を検討した。成人外斜視患者19名(間欠性外斜視12名、恒常性外斜視7名)を対象に、眼前2mの固視目標を両眼で注視させ、プリズム装用前、直後、15分後、60分後に重心動揺と重心位置を重心動揺計を用いて測定した。 プリズムは遠見斜視角に相当する度数のフレネル膜プリズムを両眼に均等に分けて装用させた。全例をプリズム装用後の両眼視の状態により(A)両眼単一視が獲得できた群、(B)変化なし群、(C)複視群の3群に分類し比較検討した。
装用前と比べて、A群では直後に外周面積と矩形面積の減少傾向を認めたが、B、C群では、全てのパラメータに有意な変化は認められなかった。各パラメータの変化量を3群間で比較したが、有意差は認められなかった。重心位置のパラメータも、全ての群で有意な変化は認めなかった。
外斜視患者において斜視角を中和するプリズム装用による両眼視の変化は重心動揺と重心位置に影響を及ぼすと結論することはできなかった。