日本視能訓練士協会誌
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シンポジウム I
「眼鏡処方・検査のコツ!」
中学・高校生の眼鏡処方
山下 牧子
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2009 年 38 巻 p. 85-91

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抄録

 中学生、高校生の眼鏡は、幼小児期と違い、通常、弱視に関する配慮は必要としないが、成人と違い成長期にあることから考慮する点も多い。そこで、中学・高校生の屈折度の変化の実態、検査の注意点を検討した。また眼鏡処方時のレンズの選択におけるアンケート調査を行ったのでその結果についても示す。
1.中学・高校生の屈折度の変化
 1983年に中学1年生であった計109名を対象に高校卒業まで6年間同一生徒で両眼開放のキャノン社製オートレフR-1™を用いて屈折状態を経過観察した。特に中学1年生で-4.00D以上のものは高校3年には-8.00Dになる可能性が高かった。
2.検査について
 塩酸シクロペントレート点眼後の中学生の遠視の頻度は18.4%であり、必要に応じて調節麻痺薬の点眼や雲霧法なども考慮しなければならない。
3.眼鏡処方について
 中学・高校生の眼鏡処方の実際について11施設11名の視能訓練士に屈折異常以外に眼疾患のない者への眼鏡装用練習に関してのアンケート調査を行った。その結果、はじめて眼鏡処方する視力の基準は、遠視では0.5から1.5までで傾向はみられず、近視、乱視は全例0.7以下であった。どのくらいの屈折度から眼鏡処方を考えるかは、遠視では45%が調節麻痺剤使用後+3.00Dで、近視では55%が-1.00D、乱視では1.00Dと1.50Dが36%であった。眼鏡処方時の矯正視力の基準は、遠視91%が1.0以上、近視は55%、乱視は64%が片眼0.7~0.8であった。このときはじめに選ぶレンズは、遠視は73%が完全矯正レンズ、近視は91%・乱視は73%が0.25D~0.50Dの低矯正レンズを選択すると答えた。
 中学生・高校生の眼鏡は教育上ならびに日常生活を向上させる上で重要な矯正用具である。この時期の眼鏡処方には、屈折度の変化の特徴を知り、近視の進行の配慮とともに遠視の矯正にも考慮すべきでと考えた。

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© 2009 日本視能訓練士協会
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