抄録
視覚障害児が通常学校で学習を継続するためには、視機能の評価に基づいて適切な視環境を整えることが重要であり、眼科医療機関と教育現場の連携が必要である。症例は先天白内障の6歳、女児である。生後2か月で両眼白内障手術を施行したが眼振の合併があり十分な視力が得られなかった。小学校就学準備に関する相談目的にロービジョン外来を初診した。通常学校に就学後も学年が進むにつれて新たなニーズが生じている。現在まで5年間に渡りケアを継続中である。学童期には、視覚障害が学習に与える影響を評価する必要がある。学童の学習の基礎である読書能力を評価し、その結果に基づいて効率よく学習するために拡大教科書を手配した。読書速度の測定は視覚障害による学習への影響を定量化する方法として有用であり、保護者および教育機関に対する情報提供の基礎となった。情報提供により学習環境を整え学習継続の円滑化を図ることができた。