目的:遠視を有する児童における読書能力を調査し、年齢変化と弱視が治癒した後の経過期間が、読書能力に及ぼす影響について検討した。
対象及び方法:対象は、西葛西井上眼科こどもクリニックを受診した6歳~12歳の両眼の屈折が遠視で、現在の矯正視力、両眼視機能が良好な小学生110例で、不同視がない症例とした。方法は、ひらがな単語で構成された読書チャートMNREAD-Jkを用い、日常視の状態を調査するため両眼開放、屈折異常矯正下にて測定した。読書能力評価は、最大読書速度、臨界文字サイズ、読書視力の3つのパラメーターで行い、年齢と弱視治癒後経過期間ごとに検討した。
結果:年齢別検討では、最大読書速度に年齢による主効果がみられたが、臨界文字サイズ、読書視力においてみられなかった。弱視治癒後経過期間の検討における最大読書速度は、経過期間が長くなるに従って速度も上昇した。さらに、年齢と弱視治癒後経過期間を要因に重回帰分析を行ったところ、どちらも貢献しているが、年齢の方がその比重は大きかった。
結論:遠視児童の読書能力において、年齢に加え弱視が治癒と診断されてからの経過期間の影響も受けることから、弱視は、早期発見・早期治療が重要であることが再認識された。