日本視能訓練士協会誌
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富山大学附属病院眼科におけるロービジョン患者へのアンケート調査結果
林 由美子奥村 詠里香中川 拓也追分 俊彦柴田 千恵林 篤志
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2013 年 42 巻 p. 191-199

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抄録

【目的】富山大学附属病院にてロービジョンケアを行うにあたり、現状を把握するため日常生活のアンケート調査を行った。
【対象と方法】2011年9月から2011年11月に富山大学附属病院眼科を受診した視力良好眼の矯正視力が0.01から0.4までの93名(男性45名、女性48名)について日常生活、持っている補助具、希望する補助具、ロービジョンケアの希望についてアンケートを行った。I群 角膜疾患、II群 中心及び周辺の視野障害を有する疾患(網膜色素変性症、緑内障、視神径疾患を含む脳神経外科疾患)、III群 中心視力は低下しているが周辺視野は保たれている疾患(黄班疾患、網膜疾患、ぶどう膜炎)の3群に分け検討した。
【結果】日常生活で「とても難しい」「やめてしまった」と答えた患者は読むことについてはそれぞれI群70%、II群74%、III群45%、書くことについてはそれぞれI群80%、II群68%、III群17%だった。いずれもI群、II群では日常生活に困難を感じている率が高かった。大学病院でロービジョンケアを「受けたい」と回答したのはI群30%、II群34%、III群31%だった。10年以上視力不良期間がある患者は45%が「受けたいと思わない」と答えた。
【結論】疾患により日常生活の困難さに差があった。視力不良期間が長期にわたると不便を感じてはいるがロービジョンケアを受けることに積極的にならなくなるため、角膜疾患や視野障害があり視力回復が困難な場合は早い時期にロービジョンケアを始めるほうが良いと思われた。

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© 2013 公益社団法人 日本視能訓練士協会
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