日本視能訓練士協会誌
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シンポジウム
屈折と内斜視
伊藤 華江
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2013 年 42 巻 p. 21-33

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抄録

【目的】内斜視の長期屈折変化と眼位の経過について検討した。
【対象と方法】1995年から2005年までに自治医科大学弱視斜視外来を受診し、少なくとも3年以上経過観察できた乳児内斜視49例、調節性内斜視59例、部分調節性内斜視86例を対象に内斜視の長期屈折変化と眼位の経過を検討した。
【結果】
1.内斜視の分類による屈折変化 
初回屈折値は乳児内斜視で +2.7±1.3D、調節性内斜視で +6.3±2.6D、部分調節性内斜視で +3.8±2.2Dで3群間に有意差があった。初回から10年後までの年平均屈折変化量は各々 0.12D、0.22D、0.11Dと調節性内斜視での変化が大きかった。
2.部分調節性内斜視における屈折変化
初回屈折値を+3.0D未満、+3.0~+6.0D未満、+6.0D以上に分けて、屈折変化を比較すると、+6.0D以上の群で有意に大きかった。自然経過観察中に外斜視に移行したものでは、移行していないものと比較して有意に発症年齢が低く、初回屈折値が大きかった。
3.調節性内斜視の長期経過
調節性内斜視から部分調節性内斜視に、あるいは外斜視に移行したものでは有意に発症年齢が低かった。初回屈折値は外斜視に移行したもので大きく、部分調節性内斜視に移行したもので小さい傾向であった。
【結論】内斜視に対しては、眼位変化とあわせて長期的な屈折変化にも着目して経過観察することが大切である。

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© 2013 公益社団法人 日本視能訓練士協会
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