日本視能訓練士協会誌
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教育講演
緑内障~視野と日常生活
國松 志保
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2013 年 42 巻 p. 17-19

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抄録

 眼科診療では、眼科医と視能訓練士との共同作業である。よりよい診療のためには、自分の検査・診断結果が、どのように患者の日常生活と関わっているのか、興味をもつことも、時には必要である。
 緑内障患者の場合は、初期のみならず、視野障害の進行した後期から末期であっても、自覚症状がないことが多い。日常臨床の場で、「おかわりないですか?」「はい、かわりはありません」・・このような会話が、数多く繰り返されているのではないかと思う。しかし、本当に「おかわり」ないのだろうか?新しい薬剤や手術デバイスが登場し、画像解析の発展によりさまざまな新知見の得られている緑内障の分野だが、日常生活との関連については、今なお、不明瞭な点が多い。
 本講演では、緑内障患者の「眼圧」・「視野」と日常生活との関連に注目したい。まず、「眼圧」については、「コーヒーを飲むと眼圧は上がる?」「運動すると眼圧は下がる?」等について、実際には、どのような研究が行われ、どこまで分かって、何が分かっていないのか、わかりやすく紹介したい。次に、「視野」については、視野欠損が読書に与える影響について考える。さらに、緑内障が悪化してしまった場合に、公共の交通網の乏しい地方では避けられない自動車運転の問題について、後期緑内障患者(両眼ともハンフリー視野中心24-2プログラムにてMean Deviation<-12dB)の自動車運転実態調査の結果を紹介する。また、本田技研工業の協力のもと開発した、緑内障患者用ドライビングシミュレータ(HondaセイフティーナビGlaucoma Edition)を用いた最新の研究成果についてもお話したいと思う。

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© 2013 公益社団法人 日本視能訓練士協会
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