日本視能訓練士協会誌
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一般講演
弱視、斜視におけるMicro Perimeter(MP-1)を用いた固視の検討
大平 亮塩谷 直子野村 美香渡辺 千草三浦 一真高野 雅彦
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キーワード: Micro Perimeter, 弱視, 斜視, 固視, RFE
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2014 年 43 巻 p. 81-86

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抄録

【目的】MP-1を用い弱視眼、斜視眼の固視安定性を測定し、視力との関係、左右眼を比較検討したので報告する。
【対象及び方法】MP-1によるFixation Testが可能であった弱視および斜視症例16例(弱視9例、斜視7例)を対象とし、固視安定性の評価にはBivariate Contour Ellipse Area(以下BCEA)による解析を用いた。30秒間に測定された固視点の68.2%を含む楕円の面積をThe Ranged of Fixation Effectiveness(以下RFE)とし、 単位はSquare Degree(以下Sqd)とした。視力の良い方の眼を検討眼とし、斜視症例では固視眼を検討眼とし、弱視で両眼の視力差の無い場合は右眼を検討眼とした。それぞれ検討眼と反対の眼を対照眼とした。検討眼と対照眼それぞれ単眼での視力とRFEを比較、また視力およびRFEについて対照眼と検討眼の差分をとり検討した。検定にはPearsonの相関係数を用いた。
【結果】検討眼ではRFEが比較的小さかったが、視力が1.2でもRFEは0.02~1.40Sqdとややばらつきがあり、視力との相関は見られなかった。(p=0.55)対照眼では視力不良例ほどRFEが大きく視力とRFEの間に正の相関が見られた。(p<0.01)両眼の視力差が大きいほどRFEの差も大きく、視力とRFEそれぞれの差分の間には正の相関が見られた。(p<0.01)
【結論】MP-1を用いFixation Testを行いBCEAによる解析を用いることで、定量的な固視評価が可能であった。今回の検討により、両眼の固視の安定性を定量化し比較検討することで、MP-1での固視検査が今後弱視、斜視の新たな視機能評価の指標となりうると考えられた。

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© 2014 公益社団法人 日本視能訓練士協会
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