日本視能訓練士協会誌
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一般講演
正常眼における高速前眼部SS-OCTと光学式眼軸長測定装置による前房深度計測値の比較
鍬塚 友子松澤 亜紀子春日 弘子佐藤 渚高木 均
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キーワード: 前房深度, IOLマスター, CASIA
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2014 年 43 巻 p. 123-129

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抄録

【目的】前眼部光干渉断層計(以下CASIA)と光学式眼軸長測定装置(以下IOLマスター)により前房深度を測定し、比較検討すること。
【対象と方法】屈折異常以外に眼疾患を有さない健常者48例96眼を対象とした。平均年齢は48.0±21.9歳、平均屈折値は-1.8±3.2Dであった。IOLマスターにて眼軸長・角膜曲率半径・前房深度を、CASIAにて角膜曲率半径・角膜厚・前房深度を測定した。9例18眼に暗室、明室、散瞳下での前房深度測定を行った。
【結果】前房深度はIOLマスター平均3.35±0.40mm、CASIA平均3.46±0.39mmであり、CASIAの方が有意に長かった(p<0.01)。しかし、IOLマスターとCASIAにて測定した前房深度には強い相関を認めた(r=0.958 p<0.01)。眼軸長は平均24.49±1.41mmであり、前房深度と中等度の相関を認めた(IOLマスター(r=0.446 p<0.01)、CASIA(r=0.402 p<0.01)。2機種の角膜曲率半径の平均値は、IOLマスター平均7.76±0.26 mm、CASIA平均7.78±0.26mmであり、相関を認めなかった(IOLマスター(r=-0.36 p=0.725)、CASIA(r=-0.39 p=0.706))。IOLマスターによる前房深度測定値は、明室3.14±0.70mm、暗室3.13±0.70mm、散瞳下3.26±0.68mmであり、各条件で有意差は認められなかった(p<0.01)。CASIAによる前房深度測定値は、明室3.21±0.61mm、暗室3.25±0.66mm、散瞳下3.40±0.61mmであり、各条件で有意差は認められなかった(p<0.01)。
【結論】前房深度の測定においては、測定機器により測定方法や測定原理が異なるため、その特性を理解し測定条件や測定値を評価することが必要と考えた。

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© 2014 公益社団法人 日本視能訓練士協会
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