日本視能訓練士協会誌
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一般講演
特殊な角膜形状眼の眼内レンズ度数決定
渡辺 逸美須藤 史子島村 恵美子蛭田 恵理渕江 勇太
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2014 年 43 巻 p. 145-152

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抄録

【目的】特殊な角膜形状眼2例の眼内レンズ(以下IOL)度数計算を経験したので報告する。
【症例1】両眼円錐角膜。オートケラトメータやIOLマスター(Zeiss)だけでなく、TMS-5(TOMEY)、Pentacam®(Oculus)による各種計測値も用いSRK/T式や光線追跡法で計算を行ったところ、正視合わせになるIOL度数はばらつきがあった。白内障手術は小切開創であり、角膜乱視はそのまま残ると予想されたため近視性単性乱視を狙い、IOLマスターの予測値が右-1.46 D、左-1.35 Dとなる右MA60MA±0.0 D、左MA60BM+17.5 Dを選択した。術後屈折誤差は右-0.54 D、左+0.35 D、視力は右0.7(1.0)、左0.5(0.9)、角膜乱視は予想通り残存したが自覚屈折の乱視度は軽減し、満足が得られた。
症例2】左眼PTK眼。TMSによる形状解析では角膜中央が平坦化していた。症例1と同様に度数計算したところ、正視合わせのIOL度数はばらつきがあった。PRKやLASIKなど角膜中央部を平坦に切削した眼では3D遠視化するという過去の報告をふまえ、PTK後眼も遠視化することを考慮し、IOLマスターの予測値が-1.75DとなるSN6CWS+26.5 Dを挿入した。術後屈折誤差は+1.125 D、視力は0.6(0.8)で、PTKによる遠視化は予想したよりも軽度であった。
【結論】特殊角膜形状眼のIOL度数は種々の形状解析装置の測定値や計算式を用い、慎重に検討した方が良いと思われた。

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© 2014 公益社団法人 日本視能訓練士協会
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