2014 年 43 巻 p. 297-303
【目的】Retinal Function Imager(RFI)は赤血球の動きを捉えることで、毛細血管レベルでの網膜血流を測定することが可能な装置である。RFIを用いて、健常者における網膜微小血管での循環状況について検討した。
【対象および方法】対象は高血圧など全身疾患の既往がなく、眼科的疾患のない健常者68名68眼とした。方法はOptical Imaging社製RFI 3005を用いて黄斑部の血流を測定し、動脈・静脈に分けて解析を行った。
【成績】黄斑部の血流速度は動脈3.15±1.08mm/sec、静脈2.47±0.80mm/secであった。平均血流速度は、動脈および静脈ともに男女差および年齢差はなかった。しかし、動脈のみ血流速度が加齢に伴い測定値がばらつく傾向が見られた(線形回帰分析、p<0.05)。
【結論】RFIを用いた場合の健常者における網膜血流の基準値を設定することができた。動脈のみ、加齢に伴い測定値がばらついた要因として血管の狭細化、生理的な動脈硬化の影響が示唆される。