日本視能訓練士協会誌
Online ISSN : 1883-9215
Print ISSN : 0387-5172
ISSN-L : 0387-5172
一般講演
多局所網膜電図波形に対するコンタクトレンズ電極が及ぼす影響
横山 健治近間 泰一郎木内 良明
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 45 巻 p. 315-321

詳細
抄録

【目的】コンタクトレンズ電極(contact lens electrode:以下CL電極)装用が他覚的屈折値と多局所網膜電図(multifocal electroretinogram: mfERG,以下mfERG)の波形に与える影響について検討した。

【対象と方法】対象は、眼疾患を有しない成人健常者5名6眼と、診断目的でmfERGを測定した5名10眼である。散瞳後、オートレフケラトメータを用いた裸眼の屈折値と、CL電極装用上の屈折値を測定した。mfERG測定の際の矯正レンズは、裸眼の屈折値にS+6.00Dを加入した条件Aと、CL電極装用上で測定した屈折値にS+6.00Dを加入した条件Bで測定した。mfERGの個々の波形を同心円状に5°、10°、15°、20°の4つの領域(Ring 1~Ring 4)にグループ化し、各領域のグループ波形を求めた。今回の研究では、健常者の条件Aと条件BそれぞれのRing 1からRing 4の陽性波振幅と潜時を検討の対象とした。

結果】角膜曲率半径の平均値が大きいほど、CL電極装用時の近視化傾向は弱くなった。角膜曲率半径の平均値とCL電極の矯正効果には、有意な正の相関がみられた(r=0.98、p<0.01)。また、陽性波振幅はRing 1では、条件Bで測定したものが、条件Aで測定したものより上昇した(p<0.05)が、Ring 2からRing 4では有意差はなかった。潜時については条件Aと条件Bでいずれの記録部位でも有意差はなかった。

結論】CL電極装用による屈折値の変化はmfERG測定時の適切な矯正レンズ度数の選択に誤差を与え、mfERGの波形にも影響を与える。

著者関連情報
© 2016 公益社団法人 日本視能訓練士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top