日本視能訓練士協会誌
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一般講演
光干渉断層計における眼球屈折データ補正の有無が測定値に及ぼす影響
金永 圭祐藤原 篤之坂手 澪後藤 保人稲垣 明日香白神 史雄
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2017 年 46 巻 p. 187-195

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抄録

【目的】眼球屈折データ(屈折度数、角膜曲率半径、眼軸長)補正の有無が、OCT画像を定量化する際に与える影響と因子を検討した。

【方法】対象は眼疾患の既往がない60名60眼(平均年齢:38.7 ± 11.2歳)の右眼とした。OCTはSwept source OCT であるDeep Range Imaging OCT-1 Atlantis(TOPCON)を用いた。測定は眼球屈折データの補正前後の条件下にて、Line scan(Horizontal)モードを用いて行った。画像の定量化と解析は、補正前後における画像の横幅をキャリパーにて計測し、各条件下の計測値とその差分を用いて比較した。

【結果】平均等価球面度数は-2.87 ± 2.92 D、平均角膜曲率半径は7.73 ± 0.21 mm、平均眼軸長は24.57 ± 1.33 mmであった。眼球屈折データ補正無しの条件で測定した平均横幅は11986.0 μm、補正有りは12079.0 ± 795.0 μmで有意差はなかった(P = 0.61)。補正前後の横幅から得た差分は、近視化と眼軸の延長に伴い有意に高い値を示した(屈折度数:P <0.01、眼軸長:P <0.01)。また従属変数を横幅の差分、独立変数を屈折度数、角膜曲率半径、眼軸長として重回帰分析を行った結果、眼軸長が影響因子であった(P <0.01)。

【結論】OCT画像における眼球屈折データは、長眼軸の症例で計測値に影響が出現していた。

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© 2017 公益社団法人 日本視能訓練士協会
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