【目的】学童期の近視人口は増加しており、原因として小児期の生活習慣変化が想定されている。就学前の生活習慣と近視形成の関連を解明する上で、就学直後の児童の眼球形態を把握することは重要である。今回、我々は小学校1年生を対象に眼軸長(AL: Axial length)と平均角膜曲率半径(CR: Corneal radius)を計測したので報告する。
【対象と方法】対象は、小学校1年生78名156眼である。2015年、2016年、2017年の各年度の4月に学校健診の眼科検査にあわせて、光学的生体測定装置(IOLマスター®)によりALとCRを測定した。
【結果】ALは22.43±0.72 mm(平均±標準偏差)、20.31mm~24.77mm(分布範囲)であった。ALの割合は21mm未満5眼(3%)、21~22mm32眼(21%)、22~23mm94眼(60%)、23~24mm18眼(11%)、24mm以上7眼(4%)であった。CRは7.69±0.23mm、7.15~8.54mmであった。CRの割合は7.5mm未満31眼(20%)、7.5~8.0mm114眼(73%)、8.0mm~8.5mm9眼(6%)、8.5mm以上2眼(1%)であった。
【結論】今回の対象眼においては、約40年前の報告に比較し、小学校就学時には長眼軸眼が増加しているとは言えない。近年の学童期の近視眼の増加と乳幼児期の眼球形態変化の関連性は低いと思われる。