2018 年 47 巻 p. 239-247
【目的】2012年度より東日本大震災の「緊急スクールカウンセラー等派遣事業」の一環で、視能訓練士が外部専門家として宮城県立視覚支援学校(以下視覚支援学校)で活動をした。2015年度までの4年間の視能訓練士の活動をまとめ、視能訓練士が視覚支援学校で外部専門家として果たす役割を明らかにする。
【方法】(1)外部専門家として派遣された視能訓練士3名の活動記録(2012から2015年度)を後ろ向きに検証した。(2)視覚支援学校の教員65名を対象とし、視能訓練士の活動についてアンケート調査を実施した。
【結果】(1)視能訓練士の訪問総回数はのべ138回、対応総件数はのべ284件で年数を重ねるにつれ1回の訪問に対する対応件数が増加していった。対応内容は「相談」「勉強会」「その他の対応」に分類され、91.9%が相談業務だった。相談の内容は「視機能」「眼疾患」「補助具」が多かった。(2)教員へのアンケート調査結果では、視能訓練士が役に立ったという意見が75.0%だった。自由記載では視能訓練士の専門的な助言を必要とする意見、意義や必要性を認める意見が多かった。
【結論】外部専門家としての視能訓練士の役割は、教員、児童生徒、保護者が当人の視機能を理解し、個々の障害に応じた教育環境が整えられるよう、視機能に関する説明、助言をすることである。