日本視能訓練士協会誌
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保育園での視力検査―眼科医療機関への受診勧告の検討―
旭 香代子石井 雅子生方 北斗羽入 貴子太田 正行
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2018 年 47 巻 p. 257-263

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抄録

【目的】新潟市では、すべての認可保育園で3歳児以上の園児に対して毎年視力検査を実施しているが、医療機関の受診勧告を受けた約3割の園児が医療機関を受診していないことが報告されている。今回我々は、新潟市保育園保健統計を調査し、医療機関への受診勧告をされながら医療機関を未受診であった園児を中心に考察したので報告する。

【対象および方法】平成20年度から平成27年度までの8年間の保育園保健統計のうち、視力検査の結果を対象として後ろ向きに調査し、新潟市保育園の視力検査受健者の推移と、医療機関の未受診率について行政区別に検討した。

【結果】視力検査の総受健者数は8年間で微増の傾向を示し、医療機関の受診勧告者数は平成25年度が最も多かった。医療機関の未受診率は、8年間で27.3%から38.2%の間で変動がみられた。行政区別に未受診率をみると、各区での幼児の人口と未受診率の間には、特段の傾向はみられなかった。また、各保育園での未受診率は0%から60%以上と、施設によってばらつきがみられた。

【結論】医療機関の未受診率は、医療機関の受診勧告者数の増減とは一致しない結果であった。未受診率の減少のあった年度については、その時期に保育士を対象とした視力検査実技講習会が開催されていた。このような啓発活動が広まることで、医療機関の未受診率が今後減少することが期待でき、ひいては就学前の弱視の検出につなげたい。

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© 2018 公益社団法人 日本視能訓練士協会
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