日本視能訓練士協会誌
Online ISSN : 1883-9215
Print ISSN : 0387-5172
ISSN-L : 0387-5172
シンポジウム
視能訓練士は、「患者の見え方」をどのように捉えているか
丹治 弘子
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 47 巻 p. 15-24

詳細
抄録

【目的】視能訓練士は、「患者の見え方」をどのように捉えて仕事をしているのか、 Vision Careとどのように向き合っているか、これから視能訓練士の目指すべきことは何かを模索する。

【対象及び方法】東北地方の視能訓練士会に所属する視能訓練士533人に、アンケート調査を行った。調査期間は、2017年8月5日から8月23日である。

【結果】アンケート回収率は、74.3%だった。その中で、病院に勤務する387人について集計した。その結果、男女の割合は女性86.5%男性13.5%であった。視能訓練士が一番重視しているのは、検査の正確性(93%)で、次いで整合性や検査時間、患者とのコミュニケーションも大切であると思っていた。患者の誘導は、患者の見えにくいしぐさ(61.2%)から考えていた。見えにくさを軽減する情報は、伝える人と聞かれたら伝える人が半々であった。患者自身の情報は、伝える人より聞かれたら伝たえると答えた人が、若干多かった。患者の生活状況や見え方の不自由さを想像したことがあると答えたのは94.8%だった。業務中に見えなくて困っていると相談された時には、なるべく聞くと答えた人が77.7%だった。視能訓練士の将来については、機器の発達により誰でも操作が出来るので必要性がなくなるのではないかとの危機感がある。また、認知度が低いので今後のことが心配であるとの回答が多かった。

【結論】視能訓練士は、検査や患者に対して真摯に向き合っているが、患者にとって有益な情報は、聞かれないと伝えないという消極的な態度であった。今後は、視能訓練士が持っている有益な視能情報を患者のみならず、病院の中に留まらず、一般社会へと視野を広げ、社会貢献なども考えていくべきと考える。

著者関連情報
© 2018 公益社団法人 日本視能訓練士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top